第4話 どれ、私が

 彼と別れると優花ゆうかが宣言した翌日。

 例の彼、博隆ひろたかくんから連絡がきた。

 話があると。

 私が既読をつけた瞬間、スマホが着信を告げた。

 彼からの通話だった。

 私は驚いた。

 なぜなら、私はまだ返事すらしていないのだから。

 少し時間が経ったが私はおそるおそるその電話に出た。

「もしもsー」

しずくっ!ごめん!俺が悪かった!今朝、優花に言われて気づいた。俺、滴の気持ち考えてなかった」

 電話に出て、もしもしすら言い切る前に彼はいきなり言った。

 それもそれなりの早口で。

 私はぎりぎり聞き取れたぐらいでリアルタイムで理解できなかった。

 彼はまだ私の気持ち心情までは見ていない気がした。

 理解できるまで黙っていた私のせいで早々に互いに沈黙する。

「ひ、博隆くん。お、落ち着いて」

 私は必死に言葉を絞り出した。

「ご、ごめん。それと、優花に別れるって言われた。滴、俺、どうしたら……」

 私に言われてもって感じするけど。

 告白なんてするつもりないし。というかできないし。

 付き合うつもりもない。ただ、傍にいるだけでいい。

「り、理由とか聞いたの?」

「ありえない。幻滅した。さようならとだけ言われました」

 なぜか、彼は敬語になっていた。

「ど、どんまい?」

 だんだん彼の声も小さくなっていた。

 そして、やがて通話も勝手に切れた。

 と、同時にドアの方から音がした。気がした。

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illud まれ @mare9887

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