オルゴール

なんで？

　でも、その日の帰り道、麦くんは車に跳ねられて帰らぬ人となってしまっていた。

私は麦くんの親からスマホに連絡が入り、その事を知った。

　麦くんの安らかな顔を見て葬儀に参列して私の瞳からは涙が止まらなかった。

　もう学校も何日も休んでいた。

亜美からはラインのメッセージが届いていた。

（鈴音大丈夫？元気出してね）と励ましてくる。

でも私の涙は止まらなかった。

心にポッカリと穴があいたみたいに。

「麦くんに麦くんに会いたいよー」

　机の上に置いてあった麦くんのオルゴール蓋を開けて底のネジを回す。

フレデリック・ショパンの「別れの曲」が流れてきた。

「バカ！麦くん本当に別れの曲になっちゃったじゃないの…」

私の瞳からはポロポロと涙が溢れ出した。

　こんなに麦くんを愛しているのにもう会えないなんて…

神様嘘だよね？

麦くんは戻ってくるよね

麦くん会いたいよー

　その時麦くんが「鈴音悲しまないで、またいつか必ず会えるから…」

「えっ？麦くん麦くん行かないで〜」

私は眠ってしまったのだろうか？

あれは夢？

　私はオルゴールを見てこれは別れの曲なんかじゃない！出会いの曲だ。

私と麦くんの思い出の曲だ。

鈴音はオルゴールをいつまでもいつまでも抱きしめていた。

　　　　　　　完