おまけ 魔法の設定

〇魔法

 フェリエッタがいた世界における魔法の定義は、空間中に存在している魔素まその濃度を操作し、“物質”を作り出す事象のことを指す。そのため、魔法使いたちの物質への理解は、かなり高く、科学的見解かがくてきけんかいに対しては近代にも匹敵している。その一方で、それらの知識は、魔法を前提に存在しているため、魔法使いにしか共有されておらず、一般の国民には公開されていない。これにより、フェリエッタの世界の文明レベルは中世におけるものにとどまっている。


 魔法を使用することが出来る素質は、フェリエッタの世界の人間であれば、すべての人間に存在している。フェリエッタの世界の人間たちは、自身の体に身体強化しんたいきょうか治癒ちゆを行う魔法を、無意識に発動している。そのため、フェリエッタの世界の人間は、身体能力や回復能力などは非常に高い。その一方で、詠唱えいしょうを行うことで、任意の魔法を自由自在に使用することが出来る人間は限られている。これらの能力を持つ人間は、魔法使いと呼ばれている。


 魔法使いが魔法を使用する際には、魔法陣まほうじんと呼ばれる、魔素の流れる副次回路ふくじかいろが発生する。この魔法陣によって、魔法使いは、生成せいせい及び創成そうせいした物質をある程度自由に操作することもできる。


 魔法は、大きく分けて、生成せいせい魔法と創成そうせい魔法の2種類が存在している。




〇生成魔法

 生成魔法とは、自然物質を創造する魔法のことを指す。他にも、自然魔法、生活魔法とも呼ばれることもある。


 この魔法で生み出す物質は、自然界に存在している物質であり、既存きぞん世界の物理法則にのっとっている。そのため、それ以外の挙動きょどうをすることはない。また、魔法陣の発光色によって、赤、青、黄、緑の4属性に分けることができる。これらの発光色は、創成魔法のものに比べると、淡い色となっている。


 すべての魔法使いが、使うことが出来る魔法であり、高度な魔法教育が行われていないものであっても、使うことが出来る魔法でもある。




〇創成魔法

 魔法とは、自然物ではない物質である超源ちょうげん物質を創生する魔法のことを指す。超源魔法とも呼ばれることもある。


 超源物質は、既存世界に存在しない独自の性質を持った物質であり、通常の物理法則に従わないことがほとんどである。超源物質は、長時間維持することができず、物質ごとの限界時間を超えると、その性質に近しい自然物へと変換されてしまう。また、魔法陣の発光色によって、赤、青、黄、緑に白、黒を足した6属性がある。


 創成魔法の属性には、個人の適した属性というものが存在している。一般的な魔法使いの適正属性は、2~3属性であるが、まれにそれ以上の適正が存在している魔法使いもいる。

例:フェリエッタ・ウィリアムズの適正 青属性魔法・白属性魔法

 基本的に超源魔法は、自然魔法の上位互換として考えられている。




〇魔法属性

 魔法は、魔法陣の発光色によって赤、青、黄、緑、白、黒の6属性に分けることが出来る。これらの発光色は、生成及び創生した物質の状態によって決定される。


赤属性あかぞくせい魔法

 化学反応中の物質を生成及び創生する魔法。魔法陣の発光色は赤であり、生成魔法の場合は淡い赤色となる。主に酸化還元さんかかんげん反応を行っている物質を、生成及び創生する場合が多い。


青属性あおぞくせい魔法

 液体状の物質を生成及び創生する魔法。魔法陣の発光色は青であり、生成魔法の場合は淡い青色となる。


黄属性きぞくせい魔法

 固体状の物質を生成及び創生する魔法。魔法陣の発光色は黄色であり、生成魔法の場合は淡い黄色となる。


緑属性みどりぞくせい魔法

 気体状の物質を生成及び創生する魔法。魔法陣の発光色は緑色であり、生成魔法の場合は淡い緑色となる。


白属性しろぞくせい魔法、黒属性くろぞくせい魔法

 時空間、力場、素粒子などの空間領域を創生する魔法。魔法陣の発光力は白色もしくは黒色である。




〇青属性生成魔法

「“我が生成したるは水 赫々せきせきたる炎にさらした身をもって顕現けんげんせよ 水の球ウォーターボール

「“我が生成したるは水 自然なる身をもって顕現せよ 水の球ウォーターボール”」

 加熱状態および常温状態にある、純水を生成する魔法。

 第二話、第十八話にて、フェリエッタ・ウィリアムズが使用。




〇赤属性創成魔法

「“我が創成したるは赤 長久ちょうきゅうの発火を持って敵を討て 火焔の球フレイムボール”」

 燃焼現象が球形に固定されている、燃焼中の気体状の超源物質を創生し、撃ちだす魔法。変換後は、二酸化炭素となる。

 第三話にて、森石数馬が使用。




〇青属性創成魔法

「“我が創成したるは青、光を整然せいぜんする薄皮はくひとなれ 偏光水膜ポライジングフィルム”」

 特定方向に振動する光を、偏光へんこうすることが出来る、液状の超源物質を創生する魔法。変換後は、生理食塩水へと変化する。

 第十二話、第十五話にて、フェリエッタ・ウィリアムズが使用。


「“我が創成したるは青 その身に宿る間隙かんげきをもって我を守れ 流動する盾フルイドイージス”」

 分子の大きさが違うことで粉粒体ふんりゅうたいのような性質を持った、液状の超源物質を創生する魔法。この超源物質は、衝撃を加えられると圧縮されることで、固体のような抵抗力を生み出す。変換後は、低温の純水へと変化する

 第十八話にて、フェリエッタ・ウィリアムズが使用。


「“我が創成したるは青 瞬に固相となり熱を奪せ 冷却の水弾フリジェレイバレット”」

 衝撃が加えられることによって、瞬時に氷へと変化する性質を持った、液状の超源物質を創生する魔法。この超源物質は、液体から固体へと相が変化する際に、接触している物質から熱を急激に奪う。変換後は、現状態の純水へと変化する。 

 第十八話にて、フェリエッタ・ウィリアムズが使用。


「“我が創生したるは青 のものを縛る鎖となれ 水の拘束ウォーターバインド”」

 鎖状の形状を保っている性質をもった、液状の超源物質を創生する魔法。創生された鎖は、常に流動しているが、鎖の形状を崩すことはない。変換後は、純水へと変化する。

 第十八話にて、フェリエッタ・ウィリアムズが使用。


「“我が創成したるは青 我が敵をその身で貫け 小さき水弾ウォーターバレット”」

 弾丸状の形状を保っている性質をもった、液状の超源物質を創生し、撃ちだす魔法。変換後は、純水へと変化する。

 第十八話、第十九話にて、フェリエッタ・ウィリアムズが使用。




〇白属性魔法

「“我が創成したるは白、超源ちょうげんの加速を持って具現せよ 解呪促進プロモート・ディスペル”」

 超源物質の変換反応を促進する空間領域を創生する魔法。

 第九話にて、フェリエッタ・ウィリアムズが使用。


「勇者召喚の魔法」

 女神トリアによる信託しんたくによって、別の世界から勇者と呼ばれる人間を召喚する魔法。召喚された勇者の身体には、勇者の証である紋章が刻まれている。また、勇者は、女神トリアの祝福として、特殊な能力スキル及び魔法が与えられている。

 その召喚方法は、王宮直属の魔導士にのみ代々受け継がれているため、一般には公開されていない。


隷呪れいじゅの魔法」 

 隷呪の刻印が刻まれているものを、刻んだ人間によって操ることが出来る魔法。その効力は、単にその行動のみならず、無意識下の思考などにも影響を与えることが出来る。

 一方で、高度な魔法知識をもつものに使用した場合は、跳ね返されることもあるため、フェリエッタの世界では、魔法知識のない亜人などの奴隷に刻まれることが多い。


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