第6話 現代へようこそ
フェリエッタが目覚めると、そこは見慣れない真っ白の天井があった。自分は気を失ってしまい、今はどこかのベッドの上で寝ているらしい。
(…あれ? これって前にもやったヤツだ。)
フェリエッタはうまく回らない頭で、自分の身に起きたことを
(確か
今から考えても、何が起きたのかさっぱり分からなかい。
フェリエッタは、
眠そうな目の少女と、目が合う。この短い期間の中で3回も
「え?」
「おい! 起きてくれ!」
フェリエッタは、肩を軽くゆすられたことで、その意識をかろうじて取り戻した。
「は、はい!?」
思わず、声に出して返事をしてしまった。目の前の少女は、よく見ると、
寝ている間に、自分の口につけられていた猿ぐつわは外されたようだ。よく見ると、手足の
フェリエッタは、上半身をベッドから起こした。今日だけで、いろいろなことがあった。何から聞けばいいのか分からず、
それを見た彼女は、椅子に座りなおし、気を取り直した様子で話し始めた。
「私の名前は、クロナギ・イツキといいます。私はあなたの味方です。先ほどは、あなたを拘束してしまい、申し訳ございません。あなたを守るためとはいえ、
そう言うと、彼女は目の前で両手を上げ、その手に何も持っていないことを示す。
「あなたの身に起きたことを
ニホン、その
「分かりました。いいですか、落ち着いて聞いてください。ここはあなたの暮らしていた世界とは別の世界になります。あなたは、別の世界からこちら側の世界に来てしまったのです。」
「別の世界?」
「そうです。ここは、あなたがもといた世界とは、あらゆる文化や法則、おそらく
クロナギ・イツキと名乗った少女の話は、ひどく
フェリエッタは、この自分の想像をはるかに
「え、えーと、それってつまり、私は別の世界からやって来て、それはあなたにとっての別の世界で、ここは別の世界ってこと?」
少し間が続いた後、クロナギが口を開いた。
「まぁ、おそらく、その
「あなたは、いったい何者なんですか?」
「私は、あなたのように別の世界から来たものたちを、助ける組織に所属しています。」
フェリエッタにも、
ここは、自分が元居たセカイではないセカイ。エルサム王国ではないニホンという別の国。キャベンディッシュ家のお
「本当に、私が居た世界とは別の世界なんですね。」
「はい。」
「私は、私がいた元の世界には、帰れるんですか?」
「…今のところ、元の世界に帰る手段は見つかっていません。」
フェリエッタはそれを聞いて、なぜかホッと安心していた。もう、あの場所に戻らなくてもいいのだ。
「しかし、私たちは、あなたを無事に
「…ありがとうございます。」
呟くようにそう言って、安心したような顔で
「どうして、私はこの世界に呼ばれたんですか?」
「それは、まだ分かりません。」
「私を
「それも、今調査中です。彼らは、あの場所で何かしらの儀式を行っていました。おそらくあなたがこの世界にやってくることになった
「えっと、ここはどこなんですか?」
「ここは、私たちの
クロナギは、フェリエッタが次々と問いかけてくる疑問に、
「そろそろ、お時間なので私は失礼します。何かあれば、そこのボタンを押してください。」
フェリエッタの疑問が
この部屋には、窓がなかった。そのため、外の様子を知ることはできない。だがクロナギの様子を見るに、外はかなり日が
一人残されてしまったフェリエッタは、改めて周りを見回す。正方形の部屋は、白い壁と床で覆われており、
(木でできた壁も天井もない。それに、こんなに
フェリエッタは、改めてここが理すら異なる別の世界であることを
目を閉じて、自分がこの世界に来た時のことを思い出す。あの時の状況を考えるに、信じられない出来事ではあるが、自分は
フェリエッタは、不思議なことに、その事実に少し
(女神トリア様。私は、この世界の救いとして
フェリエッタは、天に向かって祈り、質問を投げるが、その問いに答える者はいない。その答えは、自分で見つけるしかない。
フェリエッタの
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます