二章 クリスティーナ

第5話

 毎日学校に通い、友達に会う。家に帰ってテーブルを囲み、家族みんなで夕食を食べる。変わり映えしないし、派手でもない日常だけど、この日常が大好きだった。幸せだった。いつまでもこの幸せが続くと思っていた。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


2月23日の朝7時。いつものようにベッドから起き上がり、1階に向かう。香ばしい匂いが漂っている。テーブルに並べられた皿の上には、ジャムが塗られたシルニキがたくさんのっている。


 「おはよう。クリスティーナ。」


 「母さん、おはよう。」


 「今日の朝食はシルニキよ。どう?上手くできてるでしょ。」


 「うん。嬉しい。」


 「ヨセフったら全然起きないのよ。」


 母さんが微笑みながら話しかけてきた。


 「今日は学校でテストがあるのよね?」


 「うん。今回は自信あるんだ。」


 朝食を食べて自分の部屋に戻り、テスト前最後の勉強をした。


 朝8時になったので、家を出て学校に向かった。


 「行ってらっしゃい。頑張ってね。」


 「ねーちゃん、がんばれ〜。」


 「うん。」



 学校に着くと、友達のアレナが話しかけてきた。


 「おっはよ〜! 優等生のクリスティーナなら今日のテストも楽勝でしょうか!?」


 いつも学校で一緒にいる親友だけど、よくふざけてばかりで成績も微妙...。

 でも、友達としては本当に優しくて、面白くて、一緒にいてすごく楽しい。


 そんなことを喋っていると、ホームルームが始まった。ホームルームが終わるとすぐにテストが始まる。



 テストが始まった。始まった途端、教室の賑やかな空気が一気に張り詰めたような冷たい空気に変わった。私達は今年、大学受験を控えているのでこのテストでどの大学を受けるかが決まるんだ。教室の中はペンのカツカツという音だけが響いている。



 数時間後。


 「終わった〜!」


 終了の合図が出た途端、喜びの声を上げたのはもちろんあのアレナだ。


 「みんな、お疲れ様。今日はこのまま帰っていいぞ。」


 先生がそう言うと、みんなが帰る準備を始めた。私も帰る準備をして席を立った。


 「あ、クリスティーナ!またね〜。」


 「うん。バイバイ、アレナ。」


 学校を出ると、いきなり極寒が襲ってきた。もうすぐ春が来るというのに、まだマイナス気温だ。


 家に着き、扉を開けると甘い匂いが漂ってきた。


 「ただいま。」


 「おかえり。おやつあるよ。なんとご近所の方から綺麗なりんごをもらったからね、焼きリンゴ!紅茶もあるよ。」


 「ありがとう。」


 それからおやつを食べ、勉強し、夕食を食べ、シャワーを浴びた。

 

 寝る前にテレビをつけると、ニュースをやっていて、恐ろしいことを報道していた。ロシアがこの国攻撃しようとしているというのだ。


 お母さんもこれをみて、


 「明日にはここを出ようか。早めに寝なさい。」


 と言ってた。


 ベッドに入るとすぐさま眠気が襲ってきた。



 翌朝の朝5時。

 耳を裂くような音が響きわたった。


 ドカーン!


 「何!?この音。」


 カーテンを開けるとすぐ近くの建物に何かが落ちたようだった。




 この物語はフィクションであり、実在の人物とは必ずしも一致しません。



 

 

 

 

 




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る