第8話  ヒラメのムニエル、ペール風

 俺は、魚を調達するために、牢から出してもらった。

 すみれちゃんに魚料理をふるまうのが条件だ。

 それと同時に、牢の中でのみ、火を使って良いことを認めさせた。


 菫ちゃんは、この島では一番小さな子だけど、と呼んでるのが、島の王らしい。

 かなり高齢で、寝たきりだとか……


 それで菫ちゃんが良く作れたな……。

 まて?そもそも菫ちゃんていくつだよ??

 相変わらず、菫ちゃんの尻尾は上をピン向いてる。

 少なくても、俺を受け入れてはくれてるみたいだけど、何者?


丁氏でぃんしの生き残りだと聞いてる』


『ひょっとして、俺の心の声が聞こえてる?』


『得意ではないが……お前は良く聞こえる方だな』


 菫ちゃんは、お守りのような獣人に、俺の指定した釣の道具を持ってこさせた。


 ・細いしなる竿

 ・丈夫な細くて長い糸

 ・生肉のミンチを少し


 これだけの材料でこの辺りなら、直ぐに釣れるだろうと思った。

 そしてそれは、大当たりだった。


 なんと、大きなヒラメが釣れたのだ!!

 これはムニエルにするしか仕方がない!!


しかも、浜辺に寸胴鍋が打ち上げられていた。これで煮込み料理も出来るぜ。

 俺は菫ちゃんに連れて行ってもらって、鳥の解体場所に連れて行ってもらった。

 解体をする者は専門でいたが、そこには、俺の欲しかった豆の加工品や、塩などがあった。


 火の通りやすい石を見つけると、鳥の油を少しもらって、俺は大人しく牢屋へ戻った。


 まず、釣った魚を丁寧に三枚におろし……豆の加工品の醬油につけて、格子の中から、菫ちゃんに渡した。

 菫ちゃんは、待ってましたとばかりに、俺から薄めの石に並べられた魚の刺身を端から食べていった。


 それから俺は、鳥の油を拾った平たい石にたっぷりとぬって、塩を振ったヒラメを上に置いたんだ。ヒラメの皮の焦げる良い匂いが、辺りを包んだ。


 菫ちゃんがワクワクしてるのだ、俺にも分かって嬉しくなったよ。

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