第6話  捕まる俺、生肉出された

 モフモフ耳と尻尾のすみれちゃんが、何度も刀を捨てるように言ってくる。何度言われても、同じことだ。これ預かり物なんだ。

 それにのおかげで助かったようにも思える。


 俺がしっかりと包みを抱えて立ち上がると、遠巻きにしていた人が、ますます遠巻きになった。


 菫ちゃんが俺の方をチラリと見て、


『ついて来て』


 命令口調で言ってきた。

 辺りを見渡すと、菫ちゃんみたいな子供の姿は何処にも無かった。


『菫ちゃん。二百年も俺は生きられないよ』


 菫ちゃんの後を行きつつ、俺は言った。


『私のの血を飲めば、お前も仲間だ』


『仲間……?』


『お前は、大陸から来たのか?二百五十年前に大陸を追われた同族を受け入れて以来、この島は閉じられている』


『大陸を追われる?そんなことがあったのかい?』


『あったんだよ、私のは、大陸から来た数少ない同胞だった。には、耳も尻尾も無かったそうだ。私を生んで直ぐに死んだそうだが……という訳で、この島では何年も子供が生まれてないんだ』


 菫ちゃんは、俺を島の外れの狭い洞窟に案内した。


『そこに入ってて』


 菫ちゃんは、俺に言った。


 言われた通りにすると、洞窟の入り口に格子が降って来た。


牢屋!?とじこめられたのか?


『お前は、危険だとみんなが言ってる。の血を貰って、仲間になるまでにいるようにと命令なんだ』


『う~ 俺は、帰らなきゃならないんだよ。だから、仲間になんてなれないよ』


 すみれちゃんは、俺の顔をジッと見つめて大きな溜息をつきながら言った。


『だ~か~ら~ この島は外界とは遮断してるんだお前は、もう帰れないの!』


『帰る!』


 俺は、半ばヤケになって、怒鳴っていた。


 菫ちゃんも、これ以上の俺の説得を無理だと悟ったのか、仲間のところへ行ってしまった。

 そして俺は一人で、残された。

 こんな寒い吹き曝しの島の端っこの洞窟に。

 見張りの奴もいないなんて、少し甘く見られてないか?


 寒かったので、洞窟内に転がっていた石と小枝を集めて、火打ち石は乾いていたから、直ぐに焚火を作ることに成功した。


 晩御飯を運んで来たのも菫ちゃんだ。

 なんと、生肉!


 俺が火を焚いてるのを見て、菫ちゃんはビックリしてた。

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