第23話

カゲはカレンを、高山に近しい近郊の街の外れへと案内する。

小さな一軒家があった。庭には観葉植物が生えていて、こざっぱりした綺麗な家だ。カレンは、家の扉を開けた。

「ようこそ俺んちへ」

カゲが、扉を大きく開ける。こじんまりとした質素な家だ。それがどうにもカレンには居心地良く感じられた。やがて二人はいすに腰かけた。

「なんで私を置き去りにしたの」

「それに関しては本当に悪いと思ってる」

カレンの言葉にカゲは、即座に反応して謝罪した。

やっとのことでカゲがぽつりと呟いた。

「あれは、母さんの形見だった。どうしても、渡すわけにはいかなかったんだ」

「それならそうと、最初に言ってくれればよかったじゃないの」

「そうだな、その通りだよ。初めに言えたらよかったんだ」

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