第20話

宝石のかけらは、まだカレンの元にあった。

やがて数十分した後、誰かが降りてくるのが現れたのは怖い顔をした男だった。随分と背が高い。2m30cmはあるのではないかというほどだ。

「あの少年、宝石を持って逃げた少年のありかを言え」

男は、言うまで飯も水も与えないつもりでいた。そしてカレンは男がそうするであろうことになんとなく勘づいていた。

「知らない、本当に知らないわ。あいつに、私も裏切られたの」

数日経った。カレンの服は擦り切れ、少し痩せていた。どれだけカゲの行方を聞かれても何も答えようがない。そしてある日の夜のこと。カレンは青い宝石のかけらが手のひらで光るのを見た。だがその夜はそれだけだった。

 その光は日が経つにつれ強くなってきた。カレンは宝石を隠し通すのに必死になった。やがて強くなった光は、音をたて始める。しゅううという熱が発散していくような音である。カレンは空腹で思わず身体の力を抜いた。するとその拍子に、手のひらの中の宝石が檻に触れた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る