第19話

その途端、青い宝石が地面に転がり落ちてしまった。なんとカゲは、その宝石を掴み取ると走り始めたのだ。

カゲは、貴族の間をすり抜けて、走り去っていく。カレンは一人残された。ふと手のひらが痛む。見てみると、青い宝石のカケラが手の中にあった。転んだ時に、一部分が割れてしまったのだった。立ち上がったカレンは、貴族たちに囲まれていた。逃げることはできなさそうだった。


その頃、カレンは捕まって普通の人間サイズの檻に入れられていた。ここがどこなのか、教えてくれるような人間はどこにもいなかった。しかし一つだけわかる。どうやらここは貴族の館の地下室であると。

ジメジメした地下室はお世辞にも綺麗とはいえない。隅の方ではネズミか何かのふんが落ちているし、雨漏りなのか、水溜りがぽつりぽつりとある。カレンは思わず咳き込んだ。こんなところから早く出て行きたかった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る