第16話

館長はこの場にいたカゲの方を何度か見ながら言った。

「実を言うとね、カレン。私はずっと、申し訳なかった。悲しかったの。年頃の女の子であるあなたに、毎日仕事をさせることがね。でも、やっとあなたも掴んだのね。本当の恋を。カゲさんと一緒の旅なんて、ロマンチックだわ」

とここで息を吐き、続ける。

「行ってらっしゃい。こっちのことは気にしないでいいからね、とびきり甘いアバンチュールね、本当に素敵だわ」

「あの、何か誤解してらっしゃるかもしれませんが」

「ええ、わかっています。さあもうお口は閉じて。愛のためにその言葉を使うのです」

館長はうっとりとして、カレンとカゲを見送るのだった。

「愛のために、その言葉を使うのです……だってさ。お前んとこの館長面白えな」

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