第14話
「なんであんたが、これを持ってるの?もしかしてあんた、貴族なの?」
貴族だ。だから持っていても罰せられないのだ。そう言って欲しかった。しかしカゲは、真実を言った。
「平民さ。おっと、でもこの宝石を捨てるつもりはないぞ。これは母さんの形見だからな」
カレンは言葉を失った。
「あんた、わかってないでしょ、平民がこの宝石を持っていたらどうなるか?」
恐ろしい悪夢が蘇ってくる。街全体が火の海になったあの日の出来事にも、青い宝石が関係していると聞かされていた。カゲはふ、と笑うと、宝石を手の中で転がしてけろりとした。
「バレなきゃいいんだよ、ただの、青い色のついた石ころさ」
カレンはカゲの手から宝石を奪おうとする。が、うまくいかなかった。だんだん思い出してくる、あの日の恐ろしい記憶。
気づくと、カレンは震えていた。
「お願いだからその石を戻してきて」
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