第8話

「…どこから来たの?」

「…さあ。どこだろうね。」

「答える気は無いってこと?」

カゲはだんまりを決め込んでいる。


まあいいや。


カゲを窃盗容疑で連れていかなければならない。

「…なぁ、俺を泥棒の罪で警察に連れてこうとしてるだろ。」

カゲ(カレンはそう呼ぶことにした)は、ふん、と鼻で笑った。

そして余裕の笑みでニヤリとする。

「ほら、見てみろよ。この体のどこに盗んだものがある?」

確かに両手を広げたカゲの体は、ほっそりしていてどこにも仕掛けをしたようには見えない。

カレンは黙ったままカゲの周りを一周した。

「…馬鹿じゃん。」

カゲのすぐ後ろの暗がりに、なすやトマトが転がっているのに気づかないとでも思ったのだろうか。

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