第6話
地に落ちている血を辿っていくのは訳なかった。
それから20分もしないうちに、河川敷の下で腕を抱えている影を見つけた。草原に背を預け、苦しそうに喘いでいる。
この国では珍しい青い髪から、汗が滴り落ちているのが見えた。
捕まえるよりまずは傷の手当てからね。
カレンは自身のハンカチを取り出して、自転車を置き去りにそっと影に近づいた。
「…あの、腕、川で洗って止血しましょう。見たところそこまで傷が深くないから大丈夫。不安かもだけど、すぐ良くなるから。」
なんとも言わない影の腕に、半ば強引に水を向けると影は痛みに震えた。
それは傷の痛みより、これから何をされるのか、という恐怖のように思えた。
「大丈夫、大丈夫。」
そう繰り返し言ってやりながら、ハンカチで傷口を縛る。
さらさらと流れるせせらぎの声が、カレンの気分を落ち着かせてくれた。
「…さて、これでよし。…なんで泥棒なんてしたの?」
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