第11話 易


「易」とは「占い」のこと。


時々、夜の繁華街で明かりを灯して、座ってる易者を見た事はないだでしょうか?


「手相占い」

「夢占い」

「タロット占い」

「花占い」

「四柱推命」


いつの世も「占い」は人々の心を掴んで離さないようです。


「占い」は、それほど不思議な魔力を秘めている。


ただし、使い方を誤ればそれは「成功」にも「破滅」にも繋がる悪魔的な要素も含んでいるようです。


昔から占いは権力者や為政者などに重宝され、時には莫大な権力さえ握り占める事だってある。


その曖昧な性質状、信心深い人がのめり込んでしまえば、それはたちまち易者にとって、いとも容易くその人に手練手管の限りを尽くす事だってできる。


「占い」は一種の欲望であり、易者自身この欲望に囚われない確固たる良心が無ければ自身も占いに飲み込まれて破滅の一途を辿る事になってしまう。


そう言えば、私の近くで以前こんな出来事があったんです。


ある若い女性が飲み会帰りに、たまたま道端で一人の易者に手相を視て貰ったんです。


その占いは次々と当たり、その女性は易者の虜になってしまったんです。


彼女は毎日のように易者の元に通い詰め、その度に自分に起きる事を占って貰ってたんです。


そして、それは毎回ことごとく当たっていく。


頭上から植木が落ちてくるから気をつけろ。


駅のホームでスーツを着た男とぶつかるから注意しろなど云々。


やがて易者は彼女に「このお守りを持っていれば、災いから逃れられる」なんて上手い事言って色々なものを売りつける。


でも彼女は何一つ疑わない。


だって、それが実際に全て当たってるんですから。


でもね、これには巧妙な仕掛けが施されていたんです。


つまり、みんなグルだったんです。


上から植木鉢を落としたのも、駅のホームでぶつかってきたのも、みんな易者の仲間。


とどのつまり、その女性は騙されていたって事なんです。


本当は全て易者たちの筋書き通り。


でもね、結局、偽易者たちは全員捕まって、まとめて刑務所送り。


全て失った彼女も音信不通の行方不明。


占いはそこまで見通せてはいたのでしょうか?


アナタも占いにはご用心を…。了

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る