第85話 見つけてしまう。

……とまぁ、そんな時間は束の間で。


そこから俺は四限の授業へと、一人で向かった。

そして水曜日の恐ろしいのは、五限まであることだ。



しかも授業は、興味本位で受講した統計学。


数学で触れたこともあったから、まぁいけるだろうと軽い気持ちで追加したのが誤算だった。

授業を受けてみたら、周りにはどうやら経済学部生しかおらず、しかも上級生がほとんどときた。


それに気づいたのが、履修期間の終わったあとだったのだから、もうやるしかなかった。



授業終わり、俺は頭をフル活動させた反動で、ぼうっとしつつ校内を歩く。


『お疲れさまだよ』


その途中、ひかりから一通のメッセージをもらった。

単純なもので、これくらいでも気力が回復するのだから、恋というのは恐ろしい。


俺はそれに返信しながら画面に目を落とし、すっかり暗くなった学内のメイン通りを歩く。


そのときのことだ。俺は思わぬ人を、少し先に見つけてしまった。



彼女は、暗がりの中にいた。

ちょうど街灯と街灯の間、ぽっかり穴のような空いたベンチに一人、ぽつんと佇んでいる。


スマホの僅かな明かりがなかったら、見えていなかったかもしれない。


だが、見つけてしまった。

それはたぶん、ほんの二月前までの俺が、そうだったから。


彼女がいるところを、見つけられてしまう。



元カノ・梅野明日香がそこにいたのだ。




____________




展開の都合上短くなったので、明日も投稿します。

引き続きよろしくお願い申し上げます。

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