第2話 教師にだって入学準備はあります
「では皆さん集まって頂きありがとうございます。これより、職員頑張りましょう会を…」
始めます!と、ヴィクトワール校長が開始の合図かのように僕達職員達はお花見を始めた。
事の発端はヴィクトワール校長の不安であった。
『今年も大丈夫かな?病院に運ばれる人は出来るだけ少なくしたいけど…』
そう、毎年恒例の病院送りであった。毎年、寮の管理や授業の過労で倒れる職員が多くて多い人だと3ヶ月で6回病院送りになっている。
『ヴィクトワール校長、流石にこれは毎年恒例ですから……』
『だとしても…!職員達が倒れるのは私も見るに耐えられたいんだよ。どうしたらみんな休憩出来るかな?』
『でしたら……』
サファイから聞いた話だと二人でコソコソと計画していたらしい。だとしても僕はこんなことしても倒れるのは日常茶飯事なんだけどね。
「それにしても綺麗なもんだね」
「庭園ってあんま来ねえけど時々来てもいいもんだな」
「そうでしょ!特にあのカルラサキは私のお気に入りよ」
カルラサキとは普通の木と同じ形をしており、唯一紫色の葉っぱが咲きとてもいい匂いがする特徴的な木だ。
「それにしてもウィアードお前聞いたぞ。今年からクラス担任になるんだろ」
「君もだろスタウト」
「二人とも、私もだからね」
分かってるってとサファイに言い、周りを見てみた。職員達はお酒を飲んだり、ご飯を食べたりして、日々の疲れを取っているようだった。ヴィクトワール校長は子供のような見た目に反しお酒をがぶ飲みしている。
「僕らってまだ3年しかここに居ないよね」
「3年”も”な。ウィアード」
「もぉ~二人ったら数え間違えてるわよ。正確に言うと”6年”よ」
こんな会話でも僕らは笑ってしまう。
新入生がこんな景色を見たら呆気にとられるだろう。ここは名門学園であり街の噂でも厳格な職員が多いと言われている。でも、こんなのを見てしまったら噂なんてポッキリ折れるだろう。
だが、噂は折れることはないだろう。何故ならこんな姿を見せるのは卒業生のみだからだ。でも、そういう教師こそ学園の特徴の一つである。
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4月、それは新しい生徒達を迎えるのに適している時期。そして今日、入学式であり皆職員は正装を着て新入生を迎える準備は整っている。
「はじめまして、我らマジェス学園の教師。この3年間宜しくお願いします。そしてせいぜい頑張れ、自分の才能で壁を乗り越えてこい」
そう、僕らはあくまでも補足をする立場。いつまでも赤ちゃんみたいに甘えさせるつもりはない。
「さぁ来いよ秀才。君たちに社会の重さを教えてやる」
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