004

「あれ?おかしいですね……リンクさせた筈ですが……」


 小首を傾げての疑問だった。可愛い。


 だから、じゃねえんだよ!!


「なんだリンクって!?」


「はい?家に来る前に目を合わせたじゃないですか?そこで私の思考をリンクさせたんですよ」


 あのキスしそうになった所!?えっと、そう言われてみれば……全く何も解んねーな


「……思考をリンクと言われても、全然だが。強いて言うなら、ここは地球じゃなくどこか別の世界だろうくらいしか……」


「あれ?失敗したかな……だけどそちらで言う、異界に来た事は納得しましたか?」


 納得、というか、あまり動揺は無いな……それがリンクとやらの効果なのかは解らんけど。


「ところでお前、貴族とか言ったよな?」


 ムッとした感じで気持ち俺を睨んだ。そのちょっと怒った顔も可愛い。


「お前、じゃなく、セレス・ユピテエルです。奴隷の分際で主人に対しての言葉遣いが不遜すぎますよ」


「その奴隷とやらもよく解らんけど……貴族なのにこの家って?」


 ぐるっと部屋を見渡した。荷物がぎっとり収まった部屋。台所らしき物も見える。漫画とかで見るような安アパートと言った感じだが……


「ですから、純貴族です。今は没落貴族ですよ」


 両手を広げてやや自虐的に笑う。ここが自分の今の城だと。


「まあ、城を追い出される前に多少持ち出したお金でやりくりしている状態です。見たまんまですよ。私は今、とっても貧乏なんです」


「そ、そうなの?だから奴隷を使ってお金を稼ごうって事なのか……?」


 俺の問いに否定の首振り。


「奴隷も食べなければ死んじゃいますし、過剰過密労働をさせると、これまたすぐに死んじゃいますから。よって、普通は余裕がある者がお金を出して、奴隷商から奴隷を買うものなんです。奴隷も財産ですからね」


「しかし、お前は俺を奴隷と言った。俺はお前からお金を貰っていないけど……」


「セレス・ユピテエルですってば!!私だから良かったものの、他の貴族だったら殺されますよ。主人を呼び捨てにするとか」


 解った解った、セレスな。了解。


「セレスからお金貰っていないけど?」


「お前からファーストネームを呼び捨てですか!?まあ、悪い気分じゃないから良しとはしますが……その疑問に答えるなら、対価は渡してあります。お金じゃありませんが、望みを叶えた筈です」


 なんか頬を赤めてそう言うが……望み?


「お、俺なんて言ったっけ?」


「分解と構築、です」


 ……………言ったなぁ……絆創膏を探している最中だったよなぁ……傷を治す為に錬金術がどうとか考えていたよなぁ……

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