003

 ……………………て………


 う~ん……なんだようるせーな……気持ちよく眠っているんだから、もうちょっと寝かせてくれよ……


 ……………………てくだ……い……


 なんだよマジで。こんなに温かくて柔らかい枕で寝るの、初めてなんだから、もうちょっと寝かせれくれって……


 ひゃっ!?


 なんだ?寝返りしたら息苦しくなったけど?まあいいや。なんかとっても良い事みたいだから。


「……こんなの……主人に向かってする事じゃないですよ!!起きなさい下僕!!」


 ん?下僕?誰が?つか、息苦しくなってきた………!!


「っはあああああああああああああああ!!!」


 苦しくなって顔を上げた。と言うか背筋МAX使って身体を起こした。


 目に入ったのは……白い布?


「漸く起きましたね下僕!!少し優しくしてあげたら調子に乗りくさりやがってですよ!!起きたらとっとと退けなさい!!」


 頭の上からお怒りの声。なんだ?と思って見てみると、金髪の女の怒り顔。


 腕を突っ張っていよいよ上体を起こした。うつ伏せになっていたから苦しかった……よりもだ。


「うわあああああああああああああああああああああ!!!?」


 今度こそ驚いて飛び起きた。俺はこの女の股に顔を埋めていたのだから!!


「気を失ったあなたになるべく優しくしてあげようとして膝枕をした私に、こんな凌辱をするとは、奴隷の分際で分を弁えなさい!!」


 膝枕!?どおりで温かくて柔らかかった訳だ……ちくしょう、寝てさえいなけりゃ、心行くまま堪能できたのに!!


「い、いや、気持ちよかったから、つい」


 一応謝罪をした。自分なりに真摯に頭を下げたつもりだ。膝を折って両手をついて頭を下げたのだから。


「気持ちよかった……そ、そうですか?だったらまあ……良かったです」


 なんかそっぽを向いて顔を赤くした。可愛い。あのちょっと垂れ目なところがまた……


 ……あれ?この女って、俺の店に勝手に入って来た女だ?


「あ、あの、どちら様?」


「うん?ああ、そう言えば自己紹介がまだでしたね。セレス・ユピテエル。天界の元純貴族です」


 大きくも小さくもない、ちょうどいい胸に手を当てて、小首を傾げて微笑みながら名乗った。


 って!!


「天界!?純貴族!?なにその中学生!?」


 見た感じ中学生とは思えないが、そう突っ込まざるを得なかった。コスも天界っぽい感じだし、こいつぁ厄介な奴が不法侵入してきやがったな!!

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