因縁

 魔神に魔女。

 悪魔に龍。


「こうしてみると凄い所帯だな」


 自分の中にいたリリスとグリムの二人を出した中で。

 世にも奇妙な四人が揃っていることを前にする僕はぼーっと素直に思ったことを言葉を口にする。


「我を含め、うち二人を拘束してうち二人を使役する人の子が言うか?」


 だが、そんな僕の言葉に魔神が食ってかかってくる。


「そんな話をするよりも前にネージュはさっさと治療法を探しなさいよ」

 

 そして、グリムはグリムで僕へと辛辣な言葉を口にしてくる。


「いや、クッソ気まずいやん。リリスとエウリアのにらみ合い」


 グリムの言葉に対して、僕はリリスとエウリアの二人を指差しながら口を開く。

 今、僕はエウリアから貰った情報を元に回収してきた黒い粘性人型実体について調べているいる最中なのだが、魔神たちから視線を外したくはない。

 ということでリリスとグリムを出して監視させながら、僕も同じ部屋で作業をしていたわけなのだが。


「「うっ……」」


 元より顔見知りで因縁もあるリリスとグリムの二人は随分と複雑そうだった。


「別ににらみ合いをしようとしているわけじゃないんだよ」


「そ、そうね。私たちの仲はそこまで壊滅的でもないわよ?」


 二人はこう口にしているが、その実態としては凄まじいほどに気まずそうな想定を見せている。


「まぁ、あの二人の因縁は置いておいただな」


「この事態を引き起こした諜報人?」


「我に興味はないな」


「無責任な」


「それが神であろう?それよりもだ、我が気になるのは先ほどの人の子の発言だ。今後、我らの所在はどうするつもりだ?今、いるメンバーはかなりのメンツの濃さだけども」


「別に、僕は何もする気がないよ?基本的にはリリスもグリムも最初は敵だし。僕が敵だから何をしてもいいよね?という理論で人体実験として連れ込んだだけ。魔神もエウリアも、二人と何ら変わらない。だからに魔神とエウリアが僕に頭を垂れるなら二人と同じ流れにするかな?とりあえず適当に仲間となってもらう感じで」


 そして、僕はそのまま二人へと一方的に自分の考えを明かすのだった。

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