治癒の可能性
牢屋に閉じ込められているエウリア。
僕はそんな彼女を問い詰めて、黒い粘性人型実体をどうやって作ったのか、その製造法を事細かに聞いていた。
「随分と人道的なやりかたで作っているじゃないか。というかこんな形でも作れるんだな」
「……そう、かしら?というかネージュくんはどういった形であの黒い粘性人型実体を作ったの?」
「僕は人間性を徹底的に削ったら完成した。ありとあらゆる拷問、生命の冒涜を繰り返して、相手の精神を完全に崩壊させて、肉体までも数々の人体実験のせいでもう人間のものではない……そう言えるだけの状況に追い込んで、肉体も精神も人でない状況にさせたらそいつが溶けて黒い粘性人型実体になった」
僕のやり方は外道の一言だと思う。
それに対して、エウリアはここまで酷いことはしていない。人体実験も、拷問もなしで作り上げている。
「……と、とんでもないことをしているわね」
そんな僕の言葉を聞いたエウリアはドン引きしながら声を上げる。
「そりゃどうも。マッドサイエンティストとしてはありがたい言葉だね……あくまで、人間性を壊しているのではなく、完全に隠しているだけなら戻せる可能性もあるな。一応、残っているわけだし」
「……どう、かしら。完全に隠しているし、そもそも長らく封印されているせいで人間性だった壊れちゃっているんじゃないかしら?」
「少しくらいは人間性も残っているでしょ、ほんのわずかにでも残っていたら元に戻すの簡単だよ」
人間性を崩壊させるようになった原因だけをうまく消して、壊れた体をうまく修正させてやればいい。
完全に壊れていないのであればいくらでもやりようがある。
「これはミュートスにいい知らせを届けさせられるかも。ということでエウリア。治療に関してはお前も手伝え。いくら僕でもこれを一人でやるのはそこそこ荷が重い。出来るだけ早く治してやりたいし……何よりもやりたいことも多いからね」
「わ、わかったわ……」
僕の言葉にエウリアが頷くのだった。
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