人権

「わ、私は……別に、人道的じゃないよ」


 何気なしに告げた僕の言葉に対してエウリアは思いつめたような表情を浮かべながら口を開く。


「これまで、私は多くの人に被害を……」


 そして、告げるのはこれまでの罪の告解である。


「そうかな?そもそもとして、罪の意識がある時点で善人でしょ」


 僕は結構色々な人間を相手に人体実験をしているけど、それらで罪悪感を感じたことはない。

 外道とは何か、それを客観的に考えると間違いなく僕になるだろう。


「そ、それでも私の罪がなくなるわけじゃない!私は多くの人を、この手で……っ!」


「別にいいでしょ、エウリアはあくまで魔神に脅されてやっただけ。何も悪くないでしょ、それに魔神に対しても人じゃないし、ありとあらゆる法律に縛られる存在じゃないし、そんな罪悪感を感じる必要は無いよ。犯罪じゃないし、そもそもとして罪じゃないよ?」


「……なぁ、もしかしてだけど。我は人でないから何をしてもいいと思っている?」


 僕の言葉に対して、若干の恐怖を込めた視線を送ってきながら口を開く魔神に対して僕は笑みを返してあげる。

 別に人じゃない魔神相手に何をしてもこの世界では合法だ。

 希少動物を守るような法律も特にないしね、


「おぉい!?笑みしか返してくれないは怖いのだが……」


「そりゃあ、少なくとも恐怖を抱くようなことはするよ。それでも安心して?

大丈夫。悪魔も龍も耐えられた


「……むむっ。悪魔も行けたのか。それなら我もまだ耐えうる、か?」


『まぁ、確かに……我々の扱いはその他に比べたらマシではあったな」


『……気持ちの良いものではないけどね?決して』


「いけるいける。人体実験にも耐えられるよ」


 僕は魔神の言葉に頷く。


「……何か、私が悩んでいたのが馬鹿らしくなってきました」


 そんな中で、一人。

 僕と魔神のやりとりを見ていたエウリアが何とも言えない表情で頷く。


「あぁ、そうだよ?世間一般ならともかく、ここにはクズしかいない。魔王よりも魔王している組織だ。さぁ、エウリア。君の罪の意識を少しでも軽くするために、きびきび情報を吐いてもらおうか」


 そんなエウリアへと僕は笑顔で言葉を向けるのだった。

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