モルモット

 ある程度、神力はまだでも魔力は少し回復したのか。

 何とか立ち上がれるまでには回復している魔神は僕を前にしてその体を震わせている。


「さてはて、さーて」


 僕はそんな彼女が閉じ込めらえている牢屋の前に立つ。


「な、何なのだ!?お、お前は……っ!先ほどの、先ほどの創生より生きし偉大なる神々を、何故にお前がっ!?」


 魔神はそんな僕のことを見ながら動揺の声を漏らす。


「お前、一度は受け入れただろう。今更何をそこまで驚いているの」


「いや、あの時は流れで思わず頷いてしまったが、いくら狂信者であっても無理なものは無理だろう!?狂った信仰心だけであんなことが出来たらこの世界はとっくに世紀末だ!これでも、これでも亜神って結構凄いんだぞ!?こんな、こんな軽んじられるような存在では……こんな軽んじれるような存在ではないのだ!過去、我には大量の信者だっていたことがあるのだぞ!まぁ、その宗教団体は危険思想が祟って世界の敵となって壊滅させられてしまったが」


 僕の言葉に対して、魔神は激情のままに言葉を話す。


「それはそう」

 

 別に今の僕であれば創生ほどの力を持たない神様。

 そこそこの格の神様であれば何とか全部召喚しきれると思う……これが、様々な人に可能であったらこの世界は今、色々と大変なことになっているだろう。


「……本当に何者なんだ」


「お前のことは一旦後だ。というか、何者と言われても神様と会ったのことあるただの天才。それ以上でもそれ以下でもないし、手札をお前にそうやすやすと見せるわけないだろう?」


「うぐっ」


「ということでエウリア」


 僕は魔神の方から視線を外し、彼女と同じ牢屋の端の方で立っていたエウリアの方へと視線を送る。


「えっ、わ、私っ!?」


「そう。お前。黒い粘性人型実体……お前がミュートスの領民で作ったであろうあれの作り方を僕に教えろ。多分だけど、僕の作り方とは違うよな?お前があれだけ非人道的な僕のやり方を行うわけがない」


 驚くエウリアの言葉に僕は頷き、疑問の声を上げる。

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