世界
魔神の魔力解放。
それと共に幾度のぶつかり合いによって荒れ果てた遺跡の中が強引に別の世界へと塗り替えられていく。
荒れ果てた大地は色鮮やかな花に植物へと覆われ始め、壁より滝が降りて湖も広がっていく。
滝が湧き始めた壁にも大きな変容が生まれていく。
壁は岩と植物に覆われ始め、幾重もの滝を生み出していく。
それと共に空気中に微細な光を放つ何か、小さきものが溢れ出し、この場を小さく照らし始める。
「っとと」
そして、最後に地面を揺らしながら立ち上がった巨大な樹木が天へのその威容を伸ばし、天井をその枝で完全に覆いかぶさっていく。
「完全に隔離された、か」
樹木が天井を覆いかぶさったと共にこの場が本来あるべき世界から隔離され、別の世界へと移ったことを僕は認知する。
ここはまさしく己の目の前にいる魔神の世界、神域とでも呼ぶべき場である。
「こここそが我の神域」
膨れ上がっていく魔力。
それをその身に宿し、こちらを見つめてくる二つの瞳に怪しげな光が灯って揺らめく中で。
僕へと不敵な笑みを漏らす。
「こここそが我の本懐、我の城である」
魔神は組んでいた四つの手を離すと共に、その場へと立つ。
「神には神にしか許されていない術が幾つも存在する。そのうちの一つがこれ───己が神域を生み出す『世界創生』である」
世界創生。
それはあるべき世界の一部を自分の色に染め上げることが可能である。
その空間の内部では発動者にとって都合の良い事象が起こるようになるなどの副次的効果は多々あるが……その本質はただ一つ。
この世界に己だけの特異効果をつけるものでる。
「で?君の世界の特徴は?」
「……そのすかした表情、よもや……これを知っていたのか?」
「当たり前だろう。神を見たことがある、知っていると確かに僕は言ったはずだよね?」
知っているに決まっている。
だって、僕も使えるし。
「し、知ってとして!対抗策などあるわけがないッ!これこそが我の世界よ!見よ!」
特異効果は何か?
それを尋ねる僕に対して答えを出さない魔神は、動揺を持ちながら言葉を告げて腕を振るう。
それと共に僕の方へと幾つもの自然が牙を剥いてくる。
「この程度で、神を名乗るつもりなの?」
だが、その一切が全てを僕は腕の一振りで打ち払った。
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