乱入者
生まれながら、僕は明らかに他人とは違っていた。
本格的に僕という存在の歯車が狂ったのはあの人との出会いがあったこそではあったが、それでも超人的な力に頭脳。
自分に迫る生命の危機を的確に感知する第六感は生来のものだ。
「……あり得ない」
そんなものを生まれ持った僕は常に自分に迫る危機を前もって感知し、持ち前の超人的な力と頭脳で大体のことは解決出来た。
そんな僕にとって、今。
己の前に立つ魔神はそもそもとして危機として認識出来ないほどの存在でしかなかった。
「こ、こんな……人の子がいるというのか?我は神たるのだぞ?」
なればこそ、僕からしてみれば自分が魔神を圧倒し、魔神が僕に恐怖するという展開は始める前からなんとなくわかっていた展開である。
「……潮時かな」
いくら、僕が戦闘を望んでいても敵が動いてくれないのであればどうしようもない。
「……人の子よ。実は性別が女であったりはせぬか?」
己の内側に小さな失望を抱いていた僕に対して魔神は突拍子もない疑問の言葉を投げかけてくる。
「するわけがないだろ」
そんな疑問を投げかけてきた魔神の目が未だ死んでいないことに気付いた僕は再び己の中にある興味を再燃させて視線を再度送る。
「……そうかぁ、そうかぁ」
僕の言葉に対して魔神は心底残念そうな言葉を漏らす。
「我の性別は女なのだ。ゆえに、入る肉体としても女のものであればその親和性もあがるのだが……これほどの逸材であれば問題ないか」
魔神はここまでボコされていてもそれでも何かをしようと企んでいる。
なんと、素晴らしいことか」
「へぇ……へぇ」
魔神は何かをしようとし、それに対する僕がいつでも動けるように身構える。
「「……っ?」」
互いに高まる緊張感の中で、新たにこの古代遺跡の中へと人が現れたことで両者ともにその意識をそちらの方へと引っ張られる。
「……ッ!ま、魔神!」
いきなりこの古代遺跡に現れた乱入者。
それは目の前にいる魔神がその人に肉体を狙われいた少女、ミュートスがその人であった。
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