小手調べ

「ふぅーむ、ふぅーむ、ふぅーむ」


「……本当に何なの、この人の子ぉ」


 結構、本気で引いている様子を見せている魔神を前にしながら僕は頭を悩ませる。

 ここでどうしようか……このまま全力で戦うか、それとももっと色々なものを探ってみるか。


「良し、決めた」


 悩んだ末に自分の方針を決定する。

 

「このまま全力で戦おう!」


 僕は一気に魔法を同時に五つほど展開し、魔神に向かってぶっ放す。


「い、いきなりが過ぎるわ!人の子ぉ!もう少し、前置きを出せぇ!!!」


 いきなり大量の魔法を受けた魔神は動揺しながらもそれを回避し、しっかりと反撃してくる。


「……ッ」


 魔神の放った閃光が僕の頭を的確に打ち抜き、完全に消し飛ばしてみせる。


「おーん……今のは、魔法なのか?少しだけ構成要素が違う気がしたな」


 それでも平然と再生してみせた僕はゆっくりと首をかしげる。


「まぁ、今は良いか」


 だが、その疑問は一旦棚上げし、代わりに大量の魔法を打ち込んであげる。


「……いや、人の子よ。どうやったら死ぬのだ?」


 魔神はかなり余裕もって攻撃を結界でガードしながら呆れたような声を漏らす。


「……うーん。それはもう自分でもわからないかなぁ。正直に言うと、今見せている不死性に関して言えば完全に副産物。僕もわからない何か、何だよねー」


 ちゃんと肉体が消滅しても回復魔法を作れるような仕組みは既に自分の中で構成しているが、それはそれとして今使っているのは僕が何なのかもあまり把握していない不死性。

 自分の中でごちゃごちゃに色々なものを混ぜた結果、複合的に絡み合った幾つものの魔法が奇跡的なかみ合いで一つの魔法を作っているため、僕も僕でなんでこれでいけているのか理解出来ていない。

 どの魔法が根幹となって……再生能力を出しているのだろうか?

 

「まぁ、でも……神なら人くらい殺せるでしょ?簡単に」


「……言ってくれるではないか、人の子よ」


「ふふっ。小手調べは終わりにして……そろそろ本格的に楽しもう。神を神たるゆえんを見せて欲しいな」


「よろしい、それでは神の真髄を見せてやろうではないか」


 僕は魔神の前で不敵に笑みを浮かべ、己の中の魔力を昂らせていくのだった。

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