リリス
勝手に僕の中から飛び出していったリリス。
「えっ……!?何そいつ!」
「い、いきなり……だ、誰ですか!?」
そして、そのまま大きな声で叫んだリリスに対してマリーヌとフィアが驚愕の声を漏らす。
「そ、そいつは……ッ!」
それはお姉ちゃんも同様である。
各々驚愕の表情で声を漏らす三人。
特に、リリスのことを知っているであろうゲームの知識を持つお姉ちゃんは他の二人以上に不味いだろう。
リリスがゲームに出てきているのか、どのようなキャラなのかは知らないが、それでもお姉ちゃんがプラスに思うようなキャラではないだろう。
お姉ちゃんのこれまでの言動的に……ヤバい、ここで出てくるのはヤバい。
「馬鹿……!なんで飛び出したの!?」
僕は慌ててお姉ちゃんから逃げる意味も込めてその場を動き、リリスの方へと寄っていく。
「だが、だが……だがッ!あり得ない……なんで!なんであなたが!!!」
だが、リリスは僕のことになど気づいていないかのように、ただ黒い粘性人型実体たちの奥にいる人らしきものへと意識を向け続けている。
「聞け!」
リリスにとって、何が衝撃に値したのかは知らないが、それでもこのまま呆けてもらっては困る。
僕は彼女の脳天へと容赦なく手刀を叩きつける。
「い、いったぁ……ッ!」
「とりあえず落ち着け、あれが何なのかは知らないが、既にこの場は彼らが逃げられないように僕の結界の中だ。お前の目当てを取り逃がすことはない。ゆえに、聞け」
そして、ようやくこちらの方へとリリスが意識を向けてくる。
「す、すまない……取り乱した……だが」
リリスはそれでも僕の方ではなく奥の方にいる人影の方へと意識を向けている。
「ふぅむ……悪魔であるお前が執着する人間が、ちょっと興味が出てきたな」
それを受けて、僕の中で奥にいる人影への興味が増していく。
あれを捕まえなくてはいけない理由が更に生えてきた───
「素晴らしいわね」
───そんなことを、考えていた間に僕の結界が何かを弾く気配がすると共に、僕の前へと先ほどまで遠くにいたはずの人影が僕の目の前へと立っていた。
「ほぉー?」
僕は目の前に現れた女性に対して笑みを漏らす……これは、これはこれは実に面白い。
「それどころか、私の転移魔法までシャットアウトするんだ」
恐らくは、僕が彼女たちを閉じ込めるために貼っていた結界とは別、僕たち四人を守る為に貼っていた結界の中へと入ろうとしたであろう女性は僕の前で笑みを浮かべるのだった。
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