再びの

「ここか……」


「ここなんだ……」


「ここ、だったの……」


「えっ……?どうしたんですか?」


 父上から聞いた魔族とは違うと思われる謎の黒い粘性人型実体たちがいるという地下組織。

 そこへとやってきた僕とマリーヌはその場所に呆然と言葉を漏らし、お姉ちゃんも似たような声色で

 そして、何を言っているのか理解出来ないフィアは首をかしげている。


「まさか、いや……確かにここしかないか」


 やってきた場所、それは僕が初めて行った二重詠唱による魔法をぶっ放した先で見つけた古代遺跡。


「お前ら、どんな危険地帯を平常運転で運用していたんだよ」


 マリーヌとその姉であるミュートスが秘密基地にしようとしていた場所であった。


「いや……そう、そうね。確実に私の失敗だったわ。ここ、そんなヤバいところだったのね」


「まぁ、とりあえず入るか」


「……自分だけ置いていかれてますぅ」


 僕は不満そうにしているフィアも含めて三人全員に発動している飛翔魔法を操作し、父上の魔法によって強引に地面が掘られて古代遺跡へと入れるようになっている道を通っていく。


「いきなりいすぎでしょ」


 既に親しみ慣れてしまっているような気もする古代遺跡へと降りてきた僕たちをまず先に出迎えたのは大量にいた黒い粘性人型実体たちであった。

 

「どれだけいるのやら」


 彼らが僕たちの方に飛びついてくるよりも先に反応して結界を一瞬で貼っていた僕は、古代遺跡の中にうじゃうじゃいる黒い粘性人型実体たちを前に眉を顰める。


「……奥に人がいるな」


 そして、中を確認する僕は大量にいる黒い粘性人型実体たちの奥深くに誰か、人のようなものがいることを確認し、その姿をはっきりと確認するべく遠視の魔法を発動させる───


『嘘だ……』


 ───そんなタイミングで僕の中にいるリリスが震える声を漏らす。


「リリス?」


『どうしたの?リリス……いきなり』


 いつもとは違う雰囲気のリリスの言葉に対して、僕が疑問の声をあげながら彼女の名を呼び、何があったのかを聞こうとする。


『嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だッ!!!』


 だが、それよりも前にリリスは一人で声を荒げ始める。


「ちょっ!?」


 そして、そのままリリスは僕の身体から飛び出していく。

 それが、半ば奇襲気味であったから故に、僕は反応が遅れ、それを阻止することが出来なかった。

 


「貴方が、ここにいるはずがない───そうでしょう!?ねぇ!!!」



 そんなリリスは焦る僕を他所に奥にいる人の気配へと声を届けるのだった。

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