顔合わせ

「ふんふんふーん」


 久しぶりに帰ってきた我が家。

 ここには僕が大量に作っているガラクタたちが大量に存在している。

 重要でも、禁忌にも触れていないガラクタたち……だが、こんな子たちでも新しい発想の手助けになることが多々ある。

 かつての僕の発想。

 その宝庫がここにあるガラクタであり、まだ何かへと飛翔する前の卵たちだ。

 これを弄っている時間は僕の時間の中でも最良のものの一つであった。


「……え、ええっとぉ」


「……」


「……げ、元気ですね」


 そんな風にガラクタを弄っている僕の横で、初顔合わせとなるお姉ちゃんにマリーヌとフィアが絶妙な顔をして向かい合って座っていた。

 マリーヌとお姉ちゃんは初めましてではないが、フィアは初めてましてだ。


「……ねぇ、もう少しだけで良いからジッとしていられない?」


 そんな彼女たちの顔合わせの場をセッティングして……あとは放置でガラクタを弄っている僕に対してお姉ちゃんが結構マジなトーンで僕へと言葉を投げかけてくる。


「いや、別に出来るけど……嫌じゃん?僕は少しでも良いから魔法について考えていたいんだよねぇ。あっ、うるさいならこの部屋から出ていこうか?」


「いや、うん……それじゃあ、ここにいて欲しいかもしれない。よく考えてみればいつものことだし、実験と称して屋敷を焼こうとしようとしなくなった分、まだマシかな?」


『黙られるなよ、女……こいつは成長するにつれて多くのものを手に入れたことで裏で色々出来るようになっただけだから。裏は……もう、酷い』


『ロムルス家の家訓に従い、他人の為に動き、国を守る為に動くけど……敵には容赦しないし、遠慮なく合法だからと人間を捌くようなカス野郎のマッドサイエンティストだからね』


 それは言ってはならない秘密だ。

 仕方ないだろう……僕の体を弄りすぎているせいでもう人体実験にはあまり向かない感じになってしまったのだから。


「……良し」


 明らかに僕が悪い流れ……だが、こんなものに屈する僕ではない。

 これまでの通りに僕は魔法の研究が第一だ。


「……それじゃあ、まずは初めまして。私はスキア・ロムルス。そこにいるネージュの姉よ。よろしく」


 僕がガラクタ弄りを再開させた横で、お姉ちゃんが清楚な雰囲気を醸し出しながらフィアへと優しく声をかける。


「ちょっ!?そこまで頭を下げなくては良いわよ!?」


 土下座のような態勢で挨拶を行うフィアに対してお姉ちゃんが慌て始めている横で、僕は魔法の研究を続けるのだった。

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