ベッド
天蓋付きの大貴族の娘として相応しいだけの大きなベッド。
「あぅ……あぅ、あぅあぅあぅあぅあぅ」
だが、それでも一人用で作られているベッドは二人で入るにはあまりにも狭く。
頬を真っ赤に染めるお姉ちゃんと同じベッドの中に入る僕は自分の隣に寝ているお姉ちゃんとどうしても抱き合うような形となり、その体温がダイレクトに伝わってくるようになる。
「……うーん」
抱き合っている中で、僕がやっているのは彼女の体の中でこんがらがっている複雑な魔力の流れを解消すると共にその体の傷を治していた。
「う、うなぁぁぁ……はぁぁぁぁぁ、うなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ、ね、ね、ネージュが……ネージュがぁぁぁ。はぁ……はぁ……はぁ……体が、体が暑いぃ」
お姉ちゃんも強者の集まるロムルス家の一人。
変態性を兼ね備えている人ではあるが、それでも明確な強さを持っている。
しっかりと戦力になってもらわなければ。
『一体、私たちは何を見せられているんだ?』
『よくよく考えてみれば……ネージュが交尾する時があれば、それを私たちは見ることになるのか……』
『お、おぉ……そう言えばそうなのか。な、なんとかいうかなんか気まずいな』
「こんなもので良いかな?」
変なことを宣っているリリスとグラムのことを無視して、お姉ちゃんの体の中に流れる魔力の流れを正常に戻してあげた僕はそのままベッドからモゾモゾと出ていく。
「あぁぁぁぁぁぁ、ネージュ、離れないでぇ!」
「ちょっ!?やめろ、バカ!」
だが、そんな僕に素早く反応してこちらを掴みにかかってきたお姉ちゃんを蹴り飛ばして遠くへと追いやる。
「な、なんでぇ!?お、お姉ちゃんのことが好きで、く、くっつきたくなったのでは???」
そんな僕に対してお姉ちゃんは本気で困惑したような表情を浮かべて口を開く。
「そんなわけないでしょ、ただお姉ちゃんの体を万全にしようとしただけだよ。他人の魔力を外から操るのって難しくて、触れ合っていないと大変なんだよ、ほら?お姉ちゃん。もう傷もなければ、魔力の流れもなめらかでしょ?」
「えっ……?あっ、うぇ?……えっ!?あ、あぁ!ほ、本当だ!」
結構な時間を困惑に費やした末、ようやくお姉ちゃんは僕に何をされたのかを気づいて大きな声を上げる。
「もう体が万全になっている!えっ?凄い……ずっと違和感のあった魔力の流れもスッキリ」
「でしょう?そのためにわざわざお姉ちゃんのベッドの中に入ったんだから、これでお姉ちゃんも問題なく戦えるね」
体が万全になってくれたお姉ちゃんを見て僕は満足に頷くのだった。
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