合流

 魔族退治のために世界を巡っていた僕たち一行。

 そんな僕たちは一度、ツァウバー王国の方へと戻ってきていた。


「よく帰ってきたな」


 ツァウバー王国の方へと戻ってきたのは僕の父とお姉ちゃんであった。

 今いるのはツァウバー王国の中でも僕の故郷、ロムルス家の領地だ。


「えぇ、ただいま帰ってきました。それで……?父上とお姉ちゃんでも勝てそうになり相手がいたって本当ですか?」


 僕が領地へと帰ってきた理由……それは、父上から自分たちでは勝てない相手がいるから、と。

 助けを求められたからである。


「あぁ、本当だ」


「えぇ……どんな相手なんですか?」


「……おそらく、魔族とは別系統であろう」


「えっ?別系統ですか?」


 僕は父上の口から出てきた言葉に首をかしげる。

 こんな時期に魔族以外からの攻撃があったのか……?


「あぁ、おそらくは別系統だ。敵は単独じゃない。ここより少し離れたロムルス家の領内のとある地下拠点に奴らはいるのだが……その個々の実力も一級品。奴らは人型ではあったのだが、その体を構成していたのは粘性を持った黒い何かの物質であり、そこに何か特定個体であると示すものは何もなかった」


 ふむ……?

 粘性を持った黒い物質で全身を形成する人型実体。

 何じゃそれ、僕が生み出した失敗作のクローンか何かか……?いや、あれはちゃんと全部処分したのでそれはないはずだ。

 それでは一体その敵とは……?魔族なんて面倒な連中がいる中でそんな奴らもいるとは、なかなかに面倒な時代である。


『……えっ?』


『どうしたの?』


『……いや』


 いつも騒がしいリリスとグリム。

 その二人の会話の声色がいつもより険しいような気がすることに対して僕は若干の不安を感じながらも父上との会話に集中する。


「奴らの力は強力であり、その統領と思われる存在も非常に強力だった……俺とスキアでは逃げ帰ってくるのに精いっぱいだった。既にお前が俺よりも強いことは知っている。ロムルス家として、俺の代わりに武を示し、しかと我が国に仇為す敵を撃破してほしい」


「了解です。それで?今、お姉ちゃんはどうしているのですか?」


「自室の方にこもらせている。彼女も傷を負っているのでな。だが、まだスキアは問題なく戦える。必要であれば使うと良い」


「了解です。それでは一先ず、お姉ちゃんの方に顔を見せにいくことにします」


「あぁ、お姉ちゃんと仲良くな」


「わかっています」


 僕は父上の言葉に頷いてから、お姉ちゃんのいる場所へと向かっていくのだった。

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