戻り
「終わったよー」
魔王軍四天王。
そう名乗る傲岸な鎖』のシェーヌとやらを一蹴してきた僕は馬車の方で待っていたマリーヌとフィアの元に戻ってくる。
「えぇぇぇええええええええ!?早くない?」
「えっ!?もう、帰ってこられたんですか!?」
馬車の中で二人、ボードゲームをしていたマリーヌとフィアは早々に帰ってきた僕を見て驚愕の表情を浮かべる。
「そこまで強い敵でもなかったし、相手も一人。転移で逃げるわけでもないのだし、こんなものだよ」
「えぇ……?多くの精鋭がぶつかっていた相手だったはずなんだけど?ちゃんと、件の人物を倒したのよね?その部下でしたってオチはないわよね?」
「どんな馬鹿だよ……それは」
疑わしいものを見るかのようなマリーヌに対して僕は言葉を返す。
「し、失礼ですよ!マリーヌちゃん!ネージュ様ですから、どんな敵もちょちょいのちょいなんですよ!」
いつからちゃん呼びになったフィア……?マリーヌから頼み込まれたのだろうが、王女をちゃん呼びする平民なんてまぁ、いないぞ?
「だとしても人間なんだし、限界くらいはあるべきでしょう?疑わしいわよぉ……?いくら、ネージュだとしても」
「どれだけ疑われるんだ」
僕は決して疑わしいものを見るかのような視線を辞めるつもりのないマリーヌに対して辟易としたものを感じながら口を開く。
「あの管理棟の中には一つの生命体の反応しなかったし、それは前からある報告通りだろう?本人も魔王軍の精鋭、四天王を名乗っていたし、実力もそれ相応だったとも。魔王の足元にも及ばないが、それでも魔族たちの中ではそこそこまともだった」
「ま、魔王軍四天王ってほぼ頂点じゃない!?」
「……み、ミレニア小国はほとんど魔王軍の四天王、そのただ一人の手によって殺されたようなものなんですがぁ」
「僕だってハルマ小国くらい一人で落とせるし、多分ミレニア小国も変わらない。僕はそれだけ強いってことなんだよ。そんなことよりさっさとそれを片付けて。もう出るよ?さっさと別のところも叩きに行こう」
「あっ!ちょっと待って頂戴!」
僕の言葉に対してマリーヌは待つように告げる。
「後少しで終わるからこの一回だけやりきらせて!」
「お、お願いします!」
そして、マリーヌはフィアと共にボードゲームを最後までやらしてくれと頼んでくる。
「……仕方ない。待ってやる。終わったら出るからな」
「やったー!」
「早く終わらせてしまいましょう」
そんな申し出に対して頷いた僕は御者台へと腰を下ろし、魔導書を開くのだった。
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