増援

 己の命を棚上げしてまで仲間へと情報を共有することを優先した戦士。


「……流石にこのままは不味いか」


 そんな戦士の最期が脳天を魔法で打ち抜かれ……下半身を露出している状況というのは不味いだろう。

 流石にそれは選手の沽券に深く関わってしまう。


「君は立派にその職務を果たしたよ」


 僕は彼の名誉を守るためにもズボンを上げてそのデリケートなぶつを仕舞ってあげる。


『……わ、私はどういう反応をすればよかったんだ?自慰行為の様を見て、その後のネージュの行いを見て、ほ、褒めるような案件なのだろうか?倫理的だと』


『随分と小さな御方だったわね』


「それは辞めてやれ」


 男に小さいは禁句だ、あまりにも……辞めてやれ、本当に。


「まっ、埋葬に関してはこんなもので良いだろう。彼の職務への忠義には経緯を称するが、それでも僕たちは本質的に敵同士。ちんこを隠してやればもう十分だろう」


 魔族に葬儀の文化があるかどうかはわからないが、ちゃんと鞘の中に仕舞ってやるだけで十分だろう。


「さしあたってはこちらへと迫ってきているであろう増援についてだよね」


 自慰行為をしていた男がいた以外は何もなかった部屋から出てきた僕はその視線を自分の方へと迫ってきている敵の方へと送る。

 相手側も中々に対応が速い。

 僕が部屋の中で行っていた時間もそんなないのにも関わらず、既に僕のいる場所には大量の魔族が押し寄せてきていた。


「……うぅーむ。ここで罠を使うのももったいない気がするが、まぁ良いか。ちょくちょく仕掛けに来れば良いだけだし」


 自分の元へとやってくる魔族たちを前にすばやく思考を回した僕は自分の方針を決定する。


「死ねぇ!」


「ほっと」


 まずは自分が立っているその真上、天井から降りてやってきた魔族の首を掴んでそのまま引きちぎる。

 そして、その首を自分の前から迫ってくる魔族たちへと全力投球。

 速度の乗った魔族の首は近づいてくる魔族たちへと勢いよく衝突する。


「な、なんて奴だ!?首を武器とするなど……」


「あの人間に死者を思いやる気持ちはないのか!?」


 だが、所詮投げたのは首だけであり、いくら全力で投げたとはいえ、流石に敵を殺すまでには至らない。


「これ……こっちが悪役見たいじゃn」

 

 それでもしっかりと目的は果たしている……敵を驚かせるという、ね?


「魔族相手何だし、瞬殺出来るほうが良いよね」


 彼らが投げこまれた首を前に動揺している間にロックオンを終わらせていた僕は彼ら一人一人に向けて魔法を発動させるのだった。

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