実験タイム

 ネージュ。

 彼に一切の良識も、優しさもないわけでもない。

 それは、前世において彼が己の命を賭して少女の命を救ったこと


 

 だが、それでも彼はどこか壊れていた。



 ネージュは、優しき少年であって、悍しい研究者だ。


「ふふふ……良い声を響かせますね」


 実験体の数は多い。

 既にその数は四十を超える……もはや、悍しいの他無いだろう。

 ここで何が行われているかなどを他に話せるわけもない、そんな施設がネージュの研究室である。




「そうだねぇ……そうなるか」




 数多の光に数多の器具。




「───ッ!」




 そして、響くのは実験体たちの悲痛な叫び声である。


「ふふふ」



 だが、それらを前にしてもネージュが動揺を見せることはない。



「ふふふふふ……」



 魔導を追い求めるネージュは。


『……』


『……』


 端から部外者の立場で見れば悲痛気な様相を感じさせるネージュは研究を続ける。

 今日の題材は魔族、己が獲得した被験体であるのだった。

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