攻勢

 あの会議室の中で、他国より頭ひとつ抜けて国力を有する国がツァウバー王国とフラクション帝国である。

 そんな状況下において、フラクション帝国の者が目の前で見せされた天撃を前に萎縮しているのならば、ツァウバー王国優位に会議が進むのも半ば当然と言えた。


「ふんふんふーん」


 そんな中で認められた僕単独での魔族への攻勢許可。

 世界から認められた許可証を手にした僕はまさに最強……魔族は人類の敵であり、人類の法や秩序に守られていない存在。

 捕虜に対する扱いの取り決めさえ行われていない。

 もう、あとは分かるだろう。


「ふひっ」


 堪えきれずに笑みを漏らした僕は転移で魔族側の砦の中へと侵入する。


「「「……ッ!?」」」


 砦の中へと転移でやってきた僕を出迎えたのは魔族たちであった。

 その魔族の見た目は角と尻尾が生えている以外は人と変わらぬように見える。


「おやおや……ちゃんといるじゃないか」


 どれだけ天撃を叩きつけても決して殺す手応えがなかった存在、それを間近に観測出来た僕は笑みと共に言葉を漏らす。


「おっ」


 目の前にいる被験体は三人。

 一人目は有無を言わさずに魔法の早打ちで消し炭へと変える。


「しっかりと殺せるじゃないか」


「……ッ!」


 それをよそに魔族のうちの一人が素早く僕との距離を詰め、こちらの首へと手刀を突きつけようと迫ってくる。


「はい、捕まえた」

 

 そんな魔族に対して僕は魔法による木の根で拘束し、そのまま麻酔を撃ち込んでその意識を絶たせる。


「……逃げたか」


 一瞬にして二人を一蹴してみせた僕を前にした三人の魔族のうち一人、そいつは僕の前で忽然とその姿を消す。


「反応的には転移……まぁ、痕跡は追えないか。僕の転移とは性質がだいぶ違うな。ふむふむ、これは興味深い。それと、天撃で殺せなかった理由がわかったな」


 魔王とのつながり関連で魔族は全員転移出来るのであろう。

 故に砦へと撃ち込んだ天撃を前にしても誰も死ぬことなくいられたのであろう……ふむ、これは地下からの不意打ち、目に見えない斬撃など、どこにまで対応出来るのかを試してみたくなってくるな。

 目視からの任意発動なのだろうか?


「興味は尽きぬ……が、一先ずは眠らせてるこいつを、実験体40号を僕の拠点へと運び込むことにしょう」


 相手は転移するわけだから空間固定…それだけじゃ駄目か?完全に外界から隔離したところ……。


「まぁ、一番逃げられにくいところに行くか。逃げられたその時だ」


 僕は木の根っこで拘束している魔族と共に自分の研究室へと向かうのであった。





 新作です!

 読んでぇぇぇぇぇぇぇええええええええ!

 多い?うるせぇ、PVが伸びないんじゃい!カクヨムは僕の大事な収入源だから困るんだよ!

『悪役貴族に転生した僕は追放されたいのに、ヤンデレ化した王女様が許してくれません!』

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