戦略?会議

「先程はお騒がせ致しました。僕はロムルス家のネージュと申します。以後、お見知りおきを」

 

 砦の内部にある広々とした会議室。

 そこの中心で僕は堂々と自分の名前を口にする。

 この場にいるのは様々な国の王族であったり、将軍などのお偉いさんたちであり……ぶっちゃけ、ただの辺境伯の子供でしか無い僕の立場はこの中で最も低いと言って良い。


「ふぅむ。それでは、だ。単刀直入に言おう。如何程だ?汝が力は……魔導書を世界中からかき集めるだけでは飽き足らず、研究者をも集めている君の能力は」


 そんな中でも、僕はこの場で多くの注目を浴びながらこの会議室を取り仕切っているハルマ小国の国王陛下からの疑問の声を向けられる。


「名高きロムルス家の名に恥じぬだけの能力はあるとも」


 それに対して僕は堂々たる態度で答えを返す。


『……ロムルス家の名声って初代が私を叩き潰したことから起因するのであろう?で、あればもはやそのような議論の対象にならぬ程にはお主のほうが上ではないか?』


 良いんだよ、僕は力をそこまで誇示するつもりはないから。

 隠すつもりも毛頭ないが。


「どれほどの戦力になると?」


「国は滅ぼせる自信あります。数多の被害を出した悪魔を殺した初代のロムルス家当主にも負けぬじつりょ」


「馬鹿!」

 

 僕の言葉の途中でマリーヌが全力で頭をはたいて止めてくる。


「……何さ」


「何さ?じゃないよ!いきなり何言っているの!?国を滅ぼせる!とか、普通に考えて駄目だということはわかるでしょうが!」


「ぶぇー」

 

 堂々と勇ましいことを告げる僕に対してマリーヌが全力で僕へとツッコミを入れてくる。

 端から見たら意味のわからない、無様な光景に見えてしまうが、これも一種のパフォーマンスである。


 結局のところ、この世界では何よりも力の論理を大事にされる……僕が力を見せれば見せるだけ人々の畏怖と尊敬を集め、それを頭ごなしに叱ることの出来るマリーヌの株も上がっていく。

 この世界は基本的にすべてのものが蛮族思考なのだ。


「ちょっとは常識をだね」


「……僕は憂いているのです、魔族との戦闘に時間をかけることに。その間にも多くの人々が被害を負っているわけですから」


 魔法の研究が進まない……ありとあらゆる障害は力で打ち破ってこそ……それによって目立って強者に目をつけられるのもマイナスではないからね。

 強者とは大抵強力な魔法を持つものだ。


「一先ずとして、です。マリーヌから聞いたところ、未だ防衛が精一杯で構成に出る余裕はないのだとか……どうでしょう?攻勢の方を一旦、僕に任せてみるのは?」


 そして、最後に僕は言葉へと魔力を込めて有無を言わせぬ強烈な圧迫感を込めながら話をするのであった。



 あとがき


 クリスマスを記念しての特別SSを投稿しました!

 内容はネージュとスキアのクリスマスデートです!良ければ見てください!

 なお、投稿場所は近況ノートであり、投げ銭が必要となるサポーター様限定の近況ノートでの公開となります。



 ……え?クリスマスの時期が遅い?

 何言っているのさ、クリスマスは読者のみんな忙しいと思って避け、更にみんなに時間あるであろう土曜日の投稿にしただけ。

 これは僕の優しさだよ、うん

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