二人
魔王軍の瘴気。
僕はそれが何なのか、しっかりと調査を終えた僕は少女の姉である女性を助けてあげた。
「まずは助けてくれたことに深い感謝を。私は魔王軍に滅ぼされたミレニア小国の生き残りであるオディオと申します」
「そ、その妹であるフィアです」
「ミレニア小国を滅ぼされ、辛くも逃げ出した先で怪しげな者として捕らえられていた私がこうして無事でいられているのはマリーヌ第三王女殿下のおかげです。本当に、感謝いたします」
その後、女性ことオディオに少女ことフィアが自分たちの境遇についてマリーヌと話していた。
「良いのよ、これくらい。むしろ、貴方たち二人を牢屋なんかに閉じ込めていた他国の人間が冷血漢なのよ。可愛い女の子二人はちゃんともてなさないとね。それで?二人は魔王軍に関する情報を持っていたのでしょう?」
「えぇ、そうです。とは言っても些細な話ですが……私たちが知っていることを簡潔に離しますと、まず、魔王は伝説に語られている姿とは大きく異なる姿をしておりました。そして、その部下である魔族たちは魔王の手によって直接作られた生物です。本能的に人間への敵対心を詰め込まれているため、和睦などは不可能でしょう。そして───」
そんな最中、僕は彼女たちの話も聞かずに自分がいる部屋にある窓から見える魔王軍が建てたと思われる砦へと視線を送っていた。
砦の先には深く濃い森がおり、数多の魔物の気配を感じ取ることが出来、壁がない立派な砦の中には魔族と思われる魔王に率いられている魔族と思われる生命体が多数収容されている。
「……作られた、ねぇ」
治療中に予め聞いていた魔王軍に関する魔法の知識。
魔王の魔法によって作られたという魔族という存在の話を思い出しながら自分の中でそれについて咀嚼していく……生命創造、キメラなどは何処であっても禁忌指定されているため、僕の方にも全然情報がない。
出来れば詳しく調べてたいところだ。
「うぅむ……ここで問題になるのは魔族が人か否か、人体実験もいけるかどうかだよなぁ?」
『こ、こやつ……人体実験を?』
『ね、ねぇ……前から思っていたんだけど、ロムルス家の人間として人類の守護者としての立場を与え、良識を教えたこの子の親こそが英雄では?』
『う、うむぅ……』
失礼な。
僕はちゃんと一般道徳には従う良人だというのに……リリスたち二人の話に不満を覚えながらも自分の中での思考を加速させていく。
「とりあえずそっちの方は魔族にあってみないと何とも言えなくて……一先ずは目の前にある砦もだよなぁ」
僕は目の前にある魔王軍の砦へと再び意識を向ける。
「……ちょっくら魔法で砦を消し炭にしてみたいなぁ。再生する機能があるみたいだけど、何もなくなっても無事なのかなぁ?」
『『……ッ!?』』
「……え」
「「……?」」
そして、ぼそりと独り言を漏らすのだった。
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