状況説明
「一先ずは……待って?情報が渋滞してて……」
「仕方ないな。そんなマリーヌのために僕が簡単に状況説明をしよう。僕が牢屋にぶち込まれる。そこで中にいた少女と出会う。魔王軍の瘴気についての研究を済ませ、解除が可能となる。そんなタイミングでマリーヌが出現。君の隣にいた女性を少女の姉であると判断した僕が接触、術式の調査をしている、って感じだね」
困惑した様子を見せるマリーヌに対して僕は説明してあげていた。
「うん、一番私が聞きたいのはなんでノアが牢屋に閉じ込められているか、なんだけど?」
だが、そんな僕の説明はマリーヌに一蹴されてしまう。
「まぁ、些細なすれ違いだよ。僕が手ぶらかつ一人でここにやってきたら普通に門前払いされて。捕まったら誰か顔を見に来てくれるかな?って思っていたマリーヌが来たってわけ。結果オーライだったね」
「何しているの?」
それを受けて説明した僕の言葉に対して今度は本気で呆れられたような声が返されてしまう……うん、あまり否定はできない。
「まぁ、そこらへんはどうでも良いんだよ。こうして合流出来たわけだし……そんなことよりいつまで僕をこの暗い牢屋の中に幽閉しているの?助けてくれても良くない?」
「……そのまましばらくそこで過ごしていれば?とでも言い放ちたい気分だけど流石に駄目よね。わかったわ。それじゃあ上の砦の方に行きましょうか」
「うん……あぁ、それとあの女の子も出しちゃうよ」
僕は耳につけている魔道具を発動させ、転移でもって少女を僕の隣へと出現させる。
「……ッ、ノア、その転移魔法って他人にもかけられたのね」
「そりゃそうでしょ。僕が参考にしたのは君たちが利用していたやつで、それは他者でも使えただろう?それに、だ。自分しか転移出来ないのであれば僕は裸だぞ」
僕はマリーヌの驚きの声に淡々と答えながら視線を女性と少女の方に向ける。
「女性の方の魔王軍の瘴気の方は上の方で解除するよ、そのあとは好きにしなよ。大変なことになりそうだったら適当にうちの家で引き取るから安心して、二人はそこそこ戦力になりそうだし」
そして、二人へと僕が今伝えなければならないことを手早く告げる。
「よし、それじゃあ上の方に戻ろうか」
そのあとに再び僕は魔道具を起動させて、転移魔法を発動させる。
その転移先とは、僕が牢屋に繋がれている間に構造を把握していた砦の中、ツァウバー王国のために用意されていた一角である。
「さて、騎士たちの方は各々の職務に復帰して良いよ……それで二人はだけど、少女の方はそこらへんに座って置いて、女性はそこのベッドの方に寝っ転がって。さっさと魔王軍の瘴気を解決させちゃうから」
いきなり自分のいる景色が変わって動揺しているみんなへと僕は手早く命令を下していき、それにみんなが大貴族の次期当主の言葉だからと大人しく従っていく。
「なんでノアが仕切って……まぁ、別に良いけどね?」
そんな様子を見てマリーヌは不満げにしながらも容認するのだった。
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