人化
「ありゃ?」
永遠と魔法を撃ち続けた僕は一分足らずで古代の龍が目を回して気絶してしまったことに驚きの声を漏らしながら一旦魔法の発動を辞める。
『きゅぅー』
「魔法効かないんじゃなかったけ?」
あっさりと気絶してしまった古代の龍の前に立った僕。
『馬鹿ッ!?油断するな!!!』
「ごふっ」
そんな僕の中でリリスが叫んだ
「……えっ?」
衝撃と共に吹き飛ばされた僕の視界に入ったのは消えゆく古代の龍の身体。
そして、それと共に姿を現した一人の小型な人の姿だった。
「おもしろいじゃん」
かなり距離の吹き飛ばされ、幾つもの木々と衝突して地面を転がって頭から血を流す僕はそれでも笑みを漏らす。
「どうやって結界をすり抜けた……?実際に見ると摩訶不思議だ。どういう原理、どういう理だ?これだ……あぁ、これだ」
そんな中でも僕は目の前で見せられた魔法の無効化。
その真髄を見て、心が昂らせる。
「これは、ハマる」
そんな僕のすぐ上空には一瞬で距離を詰めていた人影が一つ。
「悪いけど、二度目は喰らうつもりないよ?」
どうやって、人の姿になっているのか。
そちらの方も気になってしまう一人の少女の姿をした古代の龍の方に視線を送りながら、上段蹴りを片手で受け止める。
「……ッ!」
「とりあえずはその体に色々と聞いてもらうことにするよ!」
そして、少女の足を掴んでそのまま地面へと叩きつける。
「今更だけど、お前はなんて呼べばいいんだ?」
「うるさい……ッ!好きに呼んでいろォ!?」
数度地面に叩きつけられ、最終的に自分の足を斬り落として全力で逃亡する少女は若干半泣きになりながら叫ぶ。
「では実験体34号と!」
そんな彼女に名を与えた僕は足を再生させながら逃げ出す実験体34号の背後から飛び蹴りを叩き込む。
「ひぃ!?」
そして、そのまま飛ばされながらもなんとか態勢を立て直して必死に防御する実験体34号へと雨のように自分の拳を振らせていく。
『な、なんで当たり前のように徒手空拳でも完勝しているんだ?』
「ま、魔法は何処に行った!?何故無効化出来ない!?」
「馬鹿か?普通に考えて魔法が効かない相手に魔法で立ち向かうわけがないだろう」
僕は半ば雑に反撃してきた実験体34号の正拳突きを横から捕まえる。
彼女は今、おそらくは龍の鱗を活用しているであろう鎧を全身に纏っており、こうして実際に触れてもその内部をうまく読み取れない。
「研究者泣かせの形態を取りやがって」
「お前のような研究者がいてたまるか!」
「っとと?」
掴んでいた実験体34号の腕に夢中になりすぎてしまった僕は彼女の回し蹴りを受けて思わず手を離してしまう。
「もう決めたぞ!!!お前のような危険人物はここで殺すッ!」
そして、解放された実験体34号は空高くに飛び上がって、僕への本気の殺意を見せてくる。
「へぇ……」
『……おい、こいつ。古代の龍の本気の覚悟に対して実験体が何を見せてくれるだろう?という純粋な学術的疑問しか抱いていないぞ』
だって、命の危険かも!って僕の本能が叫んでいないし、あまり負ける気がしないのだからしょうがないだろう。
僕はリリスの言葉に対して内心で反論しながら実験体34号の攻撃を待つのだった。
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