転生者
「……まさか、お姉ちゃんも転生者だったとは」
「……まさか、ネージュも転生者だったなんて」
話のすり合わせをした僕とお姉ちゃんは互いに驚愕の声を漏らす。
何と驚くべきことに僕もお姉ちゃんも年齢は違うが、それでも同じ時代の日本を生きた前世を持つ転生者だったなんて。
「でも、ちょっと納得ね。これならノアが年齢の割に賢いのも、行動がおかしいのも、騎士に勝ったという話も納得ね。それで?ノアが神の使いらしい天使からもらったチートの能力は何?やっぱり魔法関連?ちなみに私のチート能力は自分の身体能力関連のものだったわ」
新たに自分と同じ転生者であるということがわかったお姉ちゃんの口から無視出来ない言葉が出てくる。
「待って?何それ知らない」
僕はお姉ちゃんの言葉に愕然としながら言葉を漏らす。
そんなもの知らないけど。
「えっ……?えっ!?どういうこと!?神の使いである天使!?どんな奴だったの!?」
「いや、別にそんなたくさん言葉を交わしたわけでもないし、背中に翼が生えた女性であること以外わからないけど……そんなことよりも!えっ……?知らなかったの?もしかして何のチート能力ともなしにこの世界に来たの?」
僕の疑問を受け流したお姉ちゃんはその代わりとしてこちらに疑問の声を投げかけてくる……なんだ知らないのか。
「うん、僕は別に何ももらっていないよ?」
急激に興味を失いつつも僕はお姉ちゃんの言葉に答えていく。
「……言語とかはどうするの?」
「普通に習得したけど。前世の段階でも日本語の他に英語とドイツ語とフランス語と中国語と韓国語とインド語いけたし、今世でも古代文字とか読めるから単純に自頭」
「……わ、私の弟がありえないくらいの天才だった。それじゃあ前世は私も知っているような凄い人だったのかな?」
「いや?それはないと思うよ。まだ高校一年生だったし、何かをしていたわけでもなかったから、別に僕は普通の少年だったよ?」
「えっ!?若!」
「別にそんなに若くないと思うけど。それに今世の年齢も含めると普通に二十超えるし」
「……い、言わないでぇ!前世との合算のことは言わないでぇ!そんなこと言ったら前世で二十代前半だった私は今世含めたら三十を超えるどころか四十が近いとか……ぁぁぁぁ!でも、あれだから!精神年齢は体の年齢に引っ張られるので。そこら辺を考えると私だってまだ十代だよぉ!」
「へぇ、そうなんだ」
「もしかして自覚ない?私とか赤ちゃんの頃は体に引っ張られ過ぎて全然記憶ないけど。二歳を超えたあたりで徐々に自分を認識しだしたけどぉ」
「全然覚えているけど、赤ちゃんの頃も、僕はお姉ちゃんにうんちの掃除させたこともちゃんと覚えているよ?あの時はありがとね」
「……そう。確かに、あの頃も普通に知性を感じたわね」
「そうかぁ……でも、それじゃああのネージュはいないのかぁ。それでも、ネージュはネージュで私の弟だもんね。でも、良かった。これならネージュは私が目を光らせていなくても闇落ちしたりしないね」
「どういうこと?」
まるで僕が悪の道を進むことが確定的であるかのようなお姉ちゃんの言葉に僕は首をかしげる。
「ん?」
僕の上げた疑問の声に対してお姉ちゃんも首をかしげる。
「あれ……もしかして、知らない?あの大人気ゲームであるエポスタを。ネージュはエポスタに出てくる悪役貴族なんだけど……」
「何それ?」
お姉ちゃんの口から出てきた謎の固有名詞の羅列に僕は首をかしげる。
全然知らなかった……というか、僕は基本的な事項に興味がなかったので基本的に世情には疎い。
「えっ!?知らないの!?」
そんな僕の言葉にお姉ちゃんは驚愕の声を上げるのだった。
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