第3話 合流

 「無事の追放に、かんぱぁい!!」

 「かんぱぁい!」

 カコーン、と、小気味いい音を立てて大ジョッキを打ち鳴らし、グビグビとエールを煽るのは、うら若き乙女たち。とはいえ、その様相はおしとやかとは口が裂けても言えず、いやむしろ、やんちゃ坊主の宴、と言ったところだったが・・・


 「おまえらなぁ・・・」

 頭をかかえ、二人のお行儀の悪さに眉間を潜める男は、この家の主である。

 「堅いこと言うなって、おっさん。」

 「そうですわよ。やっと長いムショ暮らし、じゃない、教会暮らしから解放されたんですもの、ちょっとぐらい羽目を外してもいいでしょう?」

 そう口々に言う少女たちは、前者がレベッカ・キーンキ、後者がノア・キーンキである。

 二人して、たまたま本日、それぞれの職場をクビになったのだが、どんよりするどころか、開放感たっぷりにくつろいでいた。


 「そうそう。ノアの言うとおり。学校から数えるとどんだけ我慢したことか。」

 「あんたはまだ勤めて3ヶ月だから良いでしょうが。私なんて2年よ2年。貴族どもの気味悪い目に耐えに耐えて、ほんと大変だったんだから。」

 「けど教会はまだ女が生きやすいんだろう?あたしなんて男だらけで上司が犯そうとしてくんだぜ。何が捕まったときの訓練だ。平民をおもちゃにしてエロ親父どもが!」

 「で、その訓練の1回目に襲ってきた上官を半殺しにして、以降の訓練をブッチ。クビになったんだって?」

 「ああ。いやがらせで外の勤務に出してもらえず謹慎ばっか。でもまあ、直属の上司は話が分かる奴で、せめて訓練はって言って身体が動かせたからそれほど退屈はしなかったけどな。隊員を好き放題ぶちのめせたし。」

 「ああ、貴族ってだけで威張り散らしてる馬鹿どもね。おかげで私もしょっちゅう呼び出されたわよ。治療で目をつけられて側室に、ってナンパばっかでいやになっちゃう。」

 「そのおかげで教会をクビになったんだから、あたしに感謝してよね。」

 「はぁ?私の美貌のおかげに決まってるでしょうが。」

 「エロいだけじゃん。そのでっかい脂肪の塊にみんな夢中ってか?」

 「あんたなんてまな板じゃない。男か女かぱっと見わかんないんだからさ。」

 「何を~」

 「何よ。」


 「あー、やめやめやめ!おまえら久しぶりだからって暴れんな。暴れたら放り出すぞ!ったく、おまえらが本気で暴れたら家どころか町がぶっ壊れちまう。」

 二人が腕まくりして額をぶつけそうな勢いで相対したのを、家主の男が強引に引き離す。


 二人は、そんな家主に「やだなぁ。」と返した。

 「単にじゃれてるだけっすよ。」

 「そうそう。私とレベッカはこーんなに仲良しです。」

 と、二人はニコニコと肩を組んで男に見せつけた。

 それに、ハァーッと特大のため息をつきつつ、男は椅子に全身をもたれさせる。

 「ったく。・・・・で、これからおまえらどうすんだ。」


 二人はその言葉にニコッと笑顔で互いを見つめ合い、同時に男を見た。

 「「当然、ダンジョン・ディテクティブになるぜ(なります)。そうしろと言ったのはおっさん(おじさま)だろ(でしょ)。」」


 「ん。ま、そっか。」

 「てことで、よろしくお願いします、支部長。」

 「諸々手続きは任せた!会長さん。」

 二人の笑顔に、おっさん、ことダンジョン・ディテクティブ協会キーンキ部会会長にしてカーサオ支部支部長マッカス・ゼネスは、やれやれと言いつつも、温かい視線で答えたのだった。



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 初めましての方も、いつもありがとうございますの方も、

 読んでいただきありがとうございます。

 ということで新作始めました。

 気楽に読める爽快活劇が書きたいなぁ、と思っています。

 てことで、ここまでがプロローグ


 たくさんの人に読んでもらいたいので、

 少しでも応援するよ、とか、続き読んでも良いよって方、

 ☆や♥、フォローにコメント、レビューなんかをいただければ、

 とってもうれしいです。


 では、次回から、本題をお楽しみください。

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