第37話 高速消化せよイベント
3日、経っていた。俺がログアウトした日から。
その間に大型アプデ情報が発表されて掲示板は大盛り上がり……クソが、乗り遅れた。
まぁいいや。墓探し続行。80個以上誰も知らんオブジェクト見つけるとかなんだこの鬼畜ゲー。やってるの俺なんだけどさ。
マップを開いて確認、既に荒らした墓の場所にはチェックをつけてある。配置から導き出せる規則性は……うーん、多分なさそう。たまにめっちゃ近くにあったり離れた場所にあったりと全部バラバラ。わけわかんね。
そもそも今までの墓はどうやって見つけたんだ? そして84個が見つけられない理由は? 前者は単純にたまたま偶然見つけたやつが興味を持って情報提供してもらったりで見つけられた、というのが考えやすい。だが後者。きっと色んなところを見て回って探しているはずなのに見つからないのは何故だ?
うーん。もしかしたら、「見つけられない」じゃなくて「見つけにいけない」だったりしないか……?
「見つけにいけない」――すなわち進入不可エリア、及び特殊エリア――前の古代オッサンがいたメカメカしいところとか――。進入不可には流石に置いてないだろうが、特殊はあり得る。そもそもがEXとかいうエンドコンテンツに繋がる道だから、見つけづらいのも納得がいく。
あれ、この説がマジだったら……
「80個のイベントやらなきゃいけなかったりしないか……?」
◇◆◇
「フハハハ! 我が名は――
「うるせーーッ!!」
「禁忌の泉から――
「はいはい素材持ってきましたーーッ!!」
「屋敷の除霊を――
「塩! ハイ完了ーッ!!」
「最強の兵器が――
「爆☆殺!!」
まぁなんとも雑に消化されていくイベントたち。まさかイベント全てに特殊エリアが設定されてるとは思わなかったわ。全部に浮きすぎてる墓あったし。そして終わったら普通に入れるようになるみたい。
ありとあらゆるNPCに話しかけてイベントを起こし即クリア。おまけにユニークなアイテムやスキルが手に入ったが大して確認してない。唯一気になったのが『死者の魂』とかいう生き返りスキル。効果は装備してる武器が壊れた時と同時に死亡するとHPと装備耐久値が全回復……んな状況あるわけ無いだろ……と思ったがそうとも言い切れなさそうだからちょっとありがたいかも。
そして現在こなしたイベントは43個。あっさりとしたモノローグだけど、ここまで2週間ちょいかかってるんだわ。残り半分だなぁ。
で、今44個目を探してるところ。
現在地はハジマーリからとーーーっても離れた「
さてと、まずは近くの人に話しかけてみるか
「こんにちはー」
「こんにちは、旅人さん。どうしました?」
イベント持ちのNPCは話しかけると頭上にアイコンが現れる。2週間で学んだことだ。
それでこいつはどうだ。うーん、何もなし。よし次!
「なんでもないです、あざっしたー!」
今まで何回も見てきた不思議そうな表情を浮かべて見送られた。そりゃそうなるわな。
街全体……じゃなくて村全体を
「何か困ってることはありますか?」
イベントを引き出すための必須セリフ。こいつら自分から手伝って〜とかあんまり言わないんだよ。いやがっつかないのはいい姿勢だけどさぁ。
俺が聞くと青年は向き直って答える。
「実は……父と話がしたいのです」
「そっか、じゃあ早く案内を――」
「ちょっと早くないですか!? 事情とか少し聞いてくださいよぉ」
「手短に頼むわ」
「は、はい……。……俺の父は、凄腕の鍛冶師でした。俺も祖父のような人になりたかったんですが……やはり上手く行きませんでした」
日本刀を2つ、渡してきた。片方は特に感想を抱くようなものではないが、もう片方は素人でもわかる、なんというか……雰囲気? みたいな感じのが全く違う。明らかに上質なものだ。
「それは父が作った刀です。俺のと見比べるまでもありませんが、完璧な出来なんですよ。これを超えるために俺は日々努力を積み重ねてきました……。それでも、父のようにはなれませんでした。……ある日――」
「ちょい待て。長くなりそうだから目的だけ教えてくれない?」
「す、すいません……。とりあえず俺は、父に会ってどうやったらあの刀が作れるか聞きたいのです!」
「ってことはもう親父さんは死んでるってことだな?」
「はい。俺が5つの時に侍に斬られて亡くなりました……」
「そう。じゃあ早速案内よろしく」
〚イベント:刀鍛冶の継承を開始します〛
◇◆◇
「ここです」
着いたのは村から少し離れた山の中。
そして――
今までのアメリカンとは違う、まさに日本の墓が建っていた。
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