第35話 レッツゴー墓荒らし
街で買ったスコップを担ぎハジマーリから徒歩5分(俺の場合は1時間くらいかかりそうだけどね!)。200ある墓のうち1つにたどり着いた。
まぁ何の変哲もない墓だ。アメリカン風の。
平板状の石プレートに安置された人の名前が掘られている。ふむふむ、騎士セリオスってやつの墓なのか。
わざわざきっと墓が建てられてるあたり、騎士の名に恥じない活躍をして死んでいったのだろう。
そんなセリオスさんにまずは一礼……
「なんてやってられるかッ! どうせ成仏させんだから、いらん工程は全カットじゃぁぁあッ!!」
墓石を蹴り倒してその下にスコップを突き刺す。そして一気に掘り起こす!
〚称号:道外れし者にエフェクトがかかります〛
あっ、称号強化された。色が変わるくらいしか効果知らないけど。入手したときには白、前のやつで少しキラキラなエフェクトが入って今回は青色。
うーん、もうこれやれるとこまでやってキンキラキンの『道外れし者』を作ってみようかな。
そんなことを考えながらひたすら掘り進めると……
「アァゥァ……。アエァァ……」
不気味な声とともにモンスターが現れた。言うまでもなくこの墓の亡霊だ。下半身は逆さにしたソフトクリームのような形で上半身は屈強な身体と鎧。右手に大剣、左手に盾――亡霊というには少しイメージが違う気がする。
この見た目は墓に刻まれていたセリオスさんの生前の姿かもしれない。
「アァァァ……ウェェァァ!!!」
「うわあっぶね!」
怒り心頭。まさかの片手で大剣による薙ぎ払いを繰り出してくるとはね。いや死ぬかと思った。
続く2撃目を華麗に回避したところで、「テッテレーン」と効果音が鳴りそうな感じで袋を取り出す。
「えぇい、大人しく成仏しやがれ! 『ソルト・レスト』ッ!」
もちろんそんなスキルはない。俺が今名前をつけただけだ。
大さじ2くらいの塩がセリオス(の亡霊)に直撃!
ジュッという人に塩酸でもぶっかけたような音と耳をつんざく悲鳴がして、鎧騎士の姿は消えてしまった。
思ったより塩って有効的だな。こりゃ通常プレイでもいくらか持ってるのがいいかもしれない。
さてさて邪魔者がいなくなった墓をもう少し掘り進めると……
まぁ流石に刀はないよな。一発目で上手くいくほど運は強くないんだ。
代わりに良さげなものを見つけた。
ペンダントだ。さっきの亡霊と全く同じ鎧を身に着けた男とその妻子らしき人物。あいつ、家族が居たんだな……。
ペンダントは触った感じ高級そうな金属でできていて、周りの装飾は作りが細かくきっと高級品なのだろう――
「よし、売るか」
◇◆◇
現在73個目の墓なのだが……。まぁたくさん物が手に入る手に入る。墓1つにつき必ず何かしらのアイテムが埋まってる。それも全部便利そうor高そうなものだからとっても助かる。墓荒らしやったのはもしかして俺が初めてなのか?
同時に出てくる亡霊たちも中々強敵だったりする。
ここまでに俺が戦ったヤベーやつらを紹介しよう。
・ジャック・ザ・リッパー
動きが超速いから塩が当たらん。刃物の攻撃を避けるのもなかなかに難しかったが、塩の袋を盾にして攻撃を受けたら袋が破れてほぼ自滅という形で成仏。墓の下にはかっこいいナイフ、もちろん売却行き。
・魔道士シュバルツ
遠距離で魔法を打ちまくってくるやつ。5種類くらいパターンがあるから回避もそれに合わせる必要があった。全力で回避して塩ぶっかけ成仏、墓下の景品はなんかの薬。キープで。
・デネブ
鳥。飛んで中々降りてないクソ。飛ぶ高さがやたら高いんだよクソが。全力投球というか
・近衛騎士団長ギガンティス
俺の2,3倍くらい大きい、イカツイ顔の重戦士。動きはゆっくりだが塩投げても成仏してくれない。10kg袋3つ消費でよーーうやく成仏、お前屈強すぎだろ。墓下には花束。あんな顔して実は優しい男だったのか。苦労に見合わん、くたばれ。
ちなみに一回調子乗って死んだ。くやしい。
・ナターシャ
金髪美女。他の亡霊とは違い見た目がやたらと生きた人間っぽかった。色気のあるポーズで誘惑されたので大人しく従い身体に触れようとした時手がスカッと空を切った。所詮亡霊、虚しくなったので泣きながら成仏させた。パンツが手に入った。埋め直してきた。
という感じだ。
他の亡霊どもは手こずることはなかったが、この5人というか4人と1匹というか5体というかは強かった。それだけ怨念が強かったりするのかな。
ついでに『道外れし者』の称号も5段階上がって紫色にキラキラエフェクトに。
さあ残りは127個、発見済みのやつだけでも43!
更に続くよ、墓荒らしツアー!!
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