第25話 全ては野放しにした運営が悪い!

「グォアァァーー!!!」


 転移と同時にクソデカ咆哮で出迎えるエンシェント・ドラゴン。全身が茶色っぽい鱗で覆われていて、目つきがめちゃくちゃ鋭い。うんうん、まさにドラゴン!

 しかも今回はHPバーまで付いてる。レイドバトルの特別仕様かな。


 俺がドラゴンのルックスに感動している間に、他のプレイヤーは攻撃を開始した。

 剣で斬りつけたり銃で撃ったり音楽を流したり……。

 俺も参加しないとなぁ!

 いくつかのスキルを発動し、ドラゴンへと特攻した!


 今の俺の『躱撃たげき』ポイントは数千。常に回避してるわけだし殴ってもないし、そりゃ貯まるわ。

 数千ポイントでどれくらいダメージが出るのか具体的にはわからんが、とりあえず大ダメージなのは確かだ。

 さぁさぁレッツゴー拳を繰り出せ!


『ローリング・ボミング』でぶっ飛びながらエンシェント・ドラゴンに接近。飛んでくるブレスはきっちり回避! その他翼の攻撃も掻い潜ってドラゴンは既に目の前ッ!


「よっしゃあ! 喰らえィィッ!!」

[スキル:躱撃解放が発動します]


 右手をフルスイング! イグニスの時に見たバチッという音とエフェクトと共に、ドラゴンに大ダメージが入るッ!


「グァァアァァァーー!!」


 悲鳴を上げてよろめく。HPバーの表記は

 37045/100000


 ……やりすぎたかもしれねぇ……。


 俺が殴る前は5000くらいしか削れてなかったはずなんだが……。『躱撃解放』、思ったより強すぎるスキルだ。回りの奴らみんな困惑しながら武器振ってるもん。


 まぁなったものは仕方がない。それに俺は何も悪いことなんてしていない。


 さてさて、ここでステータス画面を開いてみよう。ステータス・オープン。


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【ゼロ】 Lv0 NEXT:2743


 HP ■■■■■ 1/1


 MP ■■■■■ 65535/65535


 ◇STR:1 ◇VIT:1 ◇AGI:1


 ◇DEX:1 ◇INT:1      ☆躱撃:3919


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 あれれ〜? さっき『躱撃解放』は発動してるのに『躱撃』のポイントが0になってないぞ〜?

 うん、茶番終了。仕組みを少し解説しよう。


 リベルタス・オンラインにおけるスキルは主にレベルアップで手に入る。これは経験値集めをしている間にわかる。

 そしてレベルのカンストは150。それ以降は経験値が手に入らなくなるようだ(イグニス情報)。つまりレベルアップによって手に入るスキルは1人149個まで。

 だが、レベル0固定である俺はカンストできないために経験値が手に入らなくなるということはない。よってスキルも149個より多く手に入れられる。

 じゃあこの状態で149個目を上回る、150個目のスキルを手に入れらどうなる? 答えは簡単、


 レベル2のスキルから順にもう1つ手に入るッ!!


 スキル入手2周目が開始するということだッ!

 同じスキルと言っても扱いとしては別だから、イメージ的にはカードゲームで「効果は同じだけど名前が違うカード」みたいになる。


 ……え? 同じスキルが2つ3つあっても意味ないって?

 ノンノン、それは普通の攻撃スキルとかだけだぜベイベー。

 2つ以上あると壊れるスキルがあるんだわ。それは……そうッ! 「クールタイム持ち」のスキルだ!


 クールタイム持ちのスキルはその効果に見合った使用不可時間が設定されている。

 しかァし! そのクールタイムが半減できたら? もちろん想定よりも強くなるッ!

 クールタイム持ちスキルを2つ持つことによって、その効果の発動は1つずつ行われる。つまり擬似的なクールタイム半減、及びやろうと思えば連続使用もできてしまうのだッ!


 そぉしてここでポイントが減っていない話に戻る。

 俺が特攻前に発動していたスキルの1つは、『すり替え』だ。もちろんさっきのメデューサ周回でゲットした!

『すり替え』スキルの効果は、ポイントが減少を無効化するスキルだ。ただしクールタイム2時間。

 そして俺はこのスキルを3つ、所持している。だから実質クールタイムは3分の1! 40分おきに超高出力『躱撃解放』が使える、というわけだッ!


 レイドバトルの間隔は1時間。つまり毎レイドごとに数万ダメージが叩き出せるッ! ということで俺はこのレイドの頂点は俺だと断言したのだ。

 1つ懸念点があるとすれば、レイド期間中のスキル、または俺自身への弱体化ナーフや最悪BANされるかもしれないというのがあるが……運営さん、俺を野放しにしたのあんたらだからね!?


 てことで解説パート終了!

 でも残念ながらここでまた『すり替え』を使っちゃうとどこかで使えなくなる可能性もあるし、オーバーキルだ。

『リトルボム』を投げまくって残りのHPを削ることにした。


「ハーッハッハッ! くたばれぇ! くたばれェェェッ!!」

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