第24話 レイド対策、地獄周回
「ええと、なになに……」
メールの内容を簡単に要約するとこうだ。
・1週間後に『エンシェント・ドラゴン』なるモンスターのレイドバトルが開催される。
・期間は開始から1週間。1時間おきに開催されて、参加者は30人1組でレイドバトルに挑む。
・期間中にレイドバトルで与えたダメージに応じて報酬がもらえる。限定アイテムもあり。
・与えたダメージが上位のプレイヤーには追加でスキルや称号、アイテムなどが与えられる。
なるほどなるほど。これは是非とも上位を狙いたいところだが……。
俺のプレイスタイルはレイドに向いていない。
まず移動からだ。爆発するわけだから、参加者全員がこの前のイグニスのようのなりかねない。
それにダメージを稼ぐ方法も今のところ『リトルボム』と『躱撃開放』しかない。『躱撃開放』はチャージが必要だから1時間おきのレイドだと使うのが難しそうだ。この前イグニスをぶっ飛ばせたのも回避に回避を重ねたからだし。
となると……。
「レベリングして新しいスキル見つけるしかないよなぁ……」
しばらくまともにやっていなかったレベル上げ作業へと戻るのであった。
◇◆◇
いつだか行ったハジマーリの武具屋にて、俺はそこそこの双剣を500組を購入した。およそ70万リベラル。
そして『ゴルゴーン遺跡』へと直行! ……しようしとしたところ、
「いつもうちの店を使ってくれてありがとうな。礼と言っちゃあなんだが、お前さんにだけ特別な商品を売ってやるよ」
[ハジマーリの武具屋の裏商品が解禁されました 条件:武具屋で50万リベラル以上の使用]
う、裏商品だと!? 一体どんなモノが……!
ショップのウィンドウが開く。
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[混沌の双刃] 85000リベラル
[ナイトメアサイズ] 76000リベラル
[アルテマの雫] 36000リベラル
[失われた薬] 36000リベラル
[次元の扉] 1480000リベラル
[タイタンシールド MkⅡ] 43500リベラル
etc……
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お、おぉ……。
なんというか、名前の圧と値段がすげぇな……。流石裏商品、格が違う。
武器はやたら高い攻撃力にデバフだとか状態異常だとかの特殊能力。薬みたいなのはHPとかMPの全回復。
これだけの大金を出してでも手に入れる価値はあると思う。おい、このおっさんなんでこんな物持ってんだ。
でもこんな高価な物、普通は買えないよなぁ〜…………そう、普通ならね。
「ハーッハッハッハ! 俺には今、金があるッ! なんだろうと買い放題よォ!」
イグニスから貰った400万リベラルが俺にはある!
さぁ、豪遊を始めるか!
◇◆◇
[所持金:4リベラル]
やって、しまった……。
調子に乗り過ぎた。気になった商品を片っ端から買っていったら、いつの間にか400万は溶けていき、懐は冷え切ってしまった……。
MPを全回復する『アルテマの雫』や、現在地と付近の1度行った場所を一定時間繋ぐ『次元の扉』とかは超便利アイテムだ。
しかし! HP全回復アイテムの『失われた薬』とか、見た目で買った『竜殺しの大剣』とか俺の使う場面ないよな!? HPそもそも1だし大剣とか使えないし!
他にも要らなそうなアイテムが沢山ある……。どうすんだこれ。
リベルタスでは所持品によって移動速度などに影響が出ることがないというのがギリ救いか……。
今回のでよーくわかった。お金は大事だ。
一瞬で手に入った金は、消えるのも一瞬だったとさ……。
◇◆◇
気を取り直して現在地はゴルゴーン遺跡。入り口で『次元の扉』を使用し、ボス部屋手前までの扉を作成した。
「さァて……。地獄作業の始まりだァッ!」
扉をくぐり、ボス部屋前。『ローリング・ボミング』で自身を射出し、それに気づいてこちらを向いた双眸へと剣を投げる。
悲鳴を無視して『リトルボム』。あっという間に標的は光の粒子へと変わっていった。
そう、メデューサの周回だ。
今の時点で倒せる唯一のボスかつ攻略のルートが確立できている。
メデューサが最も効率のいい経験値稼ぎになるのだ。一体につき4万も落とすし。
あとは双剣が尽きるまで繰り返すだけッ!!
俺は標的を狩るだけの殺戮マシーンと化した。
◇◆◇
レイドまでの一週間は、一瞬で過ぎ去った。
その間俺はずっとメデューサの周回。購入した双剣500組は全て使い捨てた。
お陰で300以上ものスキルを手に入れる事ができた。……正直いらん。使えないものも沢山あるから何個か捨てさせてくれないかなぁ……。
もちろん、強力なスキルも結構手に入った。レイドで火力を出すための戦略も既に整っている。
俺は今、数十人のプレイヤーと共にレイドバトルの開催場所にて、開始時刻の午前10時を待っている。
中にはイグニスと同等ではないかと思うくらいに武器がカッコいいプレイヤーや、チームワークが強そうなグループのプレイヤーもいるが、この中の誰一人として今回の1位に立つことはできない。
断言しよう。このレイドバトルの頂点に立つのはこの俺、ゼロだ。
開始まで残り
5、4、3、2、1……。
その場にいた全員がステージへと転移し、レイドバトルが開始したッ!
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