第4話 完了
男が目を覚ますと目の前にはロケランを構えた少女が立っていた。縛られているらしく体は動かせない。
「あっ、目、覚めた? おはよう」
「か、金なら払う。だから命だけは助けてくれ」
開口一番、男から出たのは命乞いだった。
「んー、お金ねぇ。ちなみにどのくらい?」
「1億だ。何なら2億でも3億でもいい」
「お金はいっぱいあるからいらないかな」
実際一回の任務で大量のお金が入ってくるフレアにはあまりお金に興味はなかった。そもそも人助けを兼ねた依頼を受けることがほとんどだ。悪徳領主なんかも何人か爆殺してきた。
「じゃあ、宝石だ。有名な絵画だってある。倉庫にあるやつ好きなだけ持っていっていい」
「宝石かぁ」
フレアからすれば宝石なんて買おうと思えばいつでも買えるし、絵画もあまり興味がない。
「じゃ、じゃあ……」
何も出てこないのか言葉に詰まる男。
「もういいよね。それじゃあ」
フレアは男に向かってロケランをぶっ放した。爆音と共に床が崩れ落ち、火の手があがる。そしてフレアは男が黒焦げになったことを確認すると窓から飛び降り、屋敷の外へ避難する。
そっと確認してみると野次馬が集まり出しており、使用人たちは呆然と燃え上がる屋敷を眺めていた。
「よし、任務完了! 報酬、報酬っ!」
フレアは人を殺したというのに上機嫌で鼻歌を歌いながら森の方へ歩いてゆく。お金はいらなくても、報酬ってなんか嬉しいものなのだ。
「あっ、そうだ」
フレアは引き返すと声色を変えて叫ぶ。
「おい、あそこの倉庫に宝石や絵画が保管されているらしいぞ。領主が死んだ今、一体誰の待ちものになるんだろうなぁ」
フレアは今度こそ森の中へと消えていった。解放した獣人たちのケアはまた別の人の仕事。フレアは今回も任務成功で幕を閉じたのだった。
異世界最強の殺し屋はロケランが好き! 天白あおい @fuka_amane
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