「白雪雫のその後、後編」


「着いたよ〜」


私は初めてブックカフェというところに来た。


「雫ちゃんは何飲む?」


「私はコーヒーで。」


「尊ちゃんは?」


「僕はコーラ一択です。」


そうして私は2人と本の話をしながらブックカフェを楽しんだ。


「ウチ、初めて有川浩さんとかしったよ〜植物図鑑とかめちゃくちゃ最高〜」


「分かってくれてよかったです。」


「雫さんもまさかここまで本に詳しいとは‥」


「いや〜楽しかったね〜みんな!」


「はい。」


「うん!」


「あの、私そろそろ帰ります。」


「そっか、雫ちゃんありがとね?」


「雫さんありがとうございました。」


「いえいえ、私こそありがとうございました。」


「またね、雫ちゃん。」


「うん、またね、優妃さん‥」


「ったく、可愛いなぁ〜この〜」


生まれて初めて友達ができた気がした。


こうして私は2人をお別れをした。


「今日は帰って、続きでも書こうかな。」


少し足取りが軽く、少し笑顔が増えたのかもしれない。





「それでよ!風夏ふうかがさ〜」


つばさ、優ちゃんその話5回目だって伝えてよ〜」


「いやさ、それぐらい許してあげなよ〜」




聞いたことある様な声が‥



新川しんかわくん?」


咄嗟に声が出てしまった。


「え?」


「あ、あのすいません。人違いでした。」


とりあえずここは逃げよう。


「すいません、俺もなんかよく分からないですけど、人違いかもしれないんですけど、前に見かけた時になんか懐かしいっていうか、感じた事あって‥」


「あの、その‥ありがとうございました。」


そう言って逃げ出してしまった。


どうしようもなくてなんとも言えなくてこの気持ちも伝えられなくて悲しくて私だけがこの世界に取り残されてる気がした。


楽しかった1日がぐちゃぐちゃになった気がした。


「ちょっと、待って!」


新川くんに呼び止められた。


「え?」


「あ、あの良かったら話ぐらい聞きますけど?」


「いや、でも‥」


「その、俺昔からなんか困ってる人いたらほっとけないんですよね‥翼、栞菜、いいかな?」


「はぁ‥俺は別にいいよ‥」


「私もいいけど‥」


そうしてみんなでファミレスに来た。


「あの、私、白雪雫しらゆきしずくって言います。実は夢だと思ってた事が夢じゃなくて、私あなた達のことを知ってるんです。」


「‥。」


みんなが固まっているのが分かった。


「その、それで‥」


「あの、白雪さんでしたっけ?無理なら大丈夫なんですけど、雫さんの事も俺たちの事も知ってる共通の知り合いとかっていますか?」


「翼、流石!頭いいな‥」


「それでしたら桃花さんとか‥」



ー数分後ー



「お待たせ。」


そう言って桃花さんが現れた。


「おう、」


「優くん、会えたんだね。」


「桃花は知ってるのか?」


「うん。優くんって文化祭のこと覚えてる?」


「そりゃあもちろん!風夏ともえの劇とライブが両方同じ時間で悩んでたらそこに桃花が現れて、それで‥それで‥俺、どうしたんだっけ?」


「ハァ‥やっぱりね。」


そう言って文化祭の日にあった出来事や夏休み明けるまでの事、優希が倒れて病院に運ばれてた事などを話してもらった。


「なるほど‥ってことは優希含め、俺らはみんな他の記憶とあるって事なのか。」


「じゃあやっぱり俺が思い出せないのとかは‥」


「本当にあった現実なんでしょうね。」


「じゃあ仮に世界をリセットしてたってより新しい別次元に新しい分岐点の俺らが居るって事なのか‥」


「あの、私を記憶が曖昧で、ずっとモヤモヤしてたんです。新咲女子に居た記憶も裏高に居た時の記憶もごちゃごちゃで‥」


「そうなんですね。1人で辛かったですよね‥」


やはり新川くんは優しい。


夢に出てきた時と全く同じだ。


「それに俺、なんか白雪雫って名前も聞き覚えあるにはあるんですよ。それに桃花の事で中学時代色々あった時に誰かに助けられた様な気もするし‥」


「ただ私も全部覚えてる訳じゃなくて記憶が曖昧で‥」


「でも、良かったですね。」


そう言ってくれたのは今井翼いまいつばさ君だった。


「俺が仮に同じ状況だったら気にしないで無かったことにしちゃうと思うんですよ、夢だからなってね、でも白雪さんはそれをしないでこうやってちゃんと向き合えたんだから本当に凄い事だと思います。」


「ありがとう。」


その言葉がただただ嬉しかった。


「あの、桃花ちゃんもみんな本当にありがとう。少しはスッキリした。」


「良かったです。雫さんまたなんかあったらなんでも言ってください。」


「あの、俺が雫さんにどういう風に接していたかはわかりませんが、あのなんかあったらなんでも言ってください!」


そうして私はみんなとお別れをした。


.


.


.


帰路に着いた私は今日の事をまとめた。


正直、行ける方法があるなら新川くんや桃花さんと仲良くして裏高の生徒として生きる世界線にも行ってみたいとは思う。


でも、今の優妃さんとかと仲良くできるこの世界線も好きだ。


「私はきっと元の記憶の世界には戻れないけど今の世界も好きだから大丈夫だよね。」


だからこそ私はこの思い出を小説に書く事にした。





ー哀恋ー



好きな人は遥か遠い宇宙の人だ。


宇宙人なのか、私が宇宙人なのか。


何億光年を離れていようがあなたに愛する人がいようがあなたを見ているだけで幸せになれる。


これが恋なのか愛なのかはたまた独占欲なのか。


好きとはなんなのだろうか、でも私は何億光年も離れているあなたをいつまでも見つめているだろう。


世界線が違えど哀恋だとしても‥


それでも


それでも


あなたを愛してきます。


.


.


.


これはきっと誰か見せる訳ではないとは思う。


でも私の想いを書き留める


いつかいつか他の世界線の自分に届く様にと。


ー終わりー

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