「白雪雫のその後、中編」
「新川優希‥」
「やっぱり覚えてないですか?」
「ごめんなさい。」
「あ、謝らないでください!」
「私ずっと夢を見てた気がして‥確かに
「雫さんは何度も何度も優くんのために世界をリセットしてたんです。それも優くんとキスする事で‥」
「じゃあ私が夢って思ってたのは‥」
「うーん‥私あまりそういうの詳しくないんですけど、一種のパラレルワールドみたいなものなのかなって思いますよ?」
「パラレルワールドね。確かにあり得るのかもしれない‥」
「だから色んな次元の雫さんが居て、多分裏高に通ってる雫さんも居るし、きっと優くんと付き合って結婚とかする雫さんとかいると思うんです私は!
後多分私と雫さんはその記憶を共有できる唯一の人なのかもしれないですね。」
「それっていい事なのかな?」
「それは私には分からないですけどきっと、その方が幸せになれるんじゃないかなとか私は思います。」
「ありがとう。」
「大丈夫ですよ!雫さんは可愛いし!もしモデルとか興味あったら私に相談してください!私は沢山雫さんに助けられてるので!」
どうやら私の思ってた夢は夢じゃなかったらしい。
「今日は本当にありがとう。」
「いえいえ!また何か知りたい事あったらいつでもFINEして下さい!」
そうして桃花さんとはお別れをした。
久々に夕方に外にいるな。
なんて事を思いながら街を少し歩く事にした。
冬は暗くなるのが早くて少し寂しい気持ちにもなる。
輝くイルミネーション、楽しそうな恋人達の声、1人帰路に帰る寂しさもある。
たまには早めに家に帰ろう‥
.
.
.
「ただいま〜
って誰も居ないけど。」
夜遅くなるまで親は帰ってこない。
「私の夢の話、私の知らない私。
私を知るために少しやりたいな‥」
そうして
「新川くんってどんな人なんだろう‥
年下でどんな顔をしてるんだろう‥」
そんな事を考えながら妄想を書き連ねてみた。
昔から人と話すのが苦手だった私はよく1人で物語を書くことが好きだった。
別にそれを誰かに見せる訳でもなくただ何となく書くのが好きだった。
「私、恋をした事無いけど本当はしてみたいのかな、私って運動も勉強も大してできないけどどうなりたいんだろう‥」
そう思っていくうちに1つの作品が完成した。
ー哀恋ー
私は誰?
君は誰?
私は毎日夢で出会った君に恋をする。
私の事を知ってくれてるの?
君のことは多分知ってる。
顔も知らない名前も今日知った。
私は毎日夢で出会った君に恋をする。
夢の中でキスをした気がする。
私の初めて。
体温が上がる感覚。
私が私じゃなくなる様な‥
後輩の君に先輩でいれるだろうか。
私はどんな人になれてたんだろうか。
多分もう見れることない夢
それでも
私は毎日夢で出会った君に恋をする。
.
.
.
な、なんて恥ずかしいポエムを書いてしまったんだと思った。
でもこれが素直な気持ちがした。
「今日は不思議な1日だったな。でも」
「楽しかったな。」
.
.
.
「雫!雫!」
「え??」
私は見知らぬ男の人に声をかけられた。
「俺ですよ、優希ですよ!」
「し、新川‥君?」
「やっぱり、雫だ!」
「なんで、私の事忘れたんじゃ?」
「何言ってるんですか?俺が忘れる訳無いじゃないですか!だって雫は俺の‥」
ハッ!
「俺の?」
思わず口に出してしまう程の夢だった。
「夢だよね‥でも‥。」
なんとなく新川くんの顔が浮かんだ気がした。
「忘れないようにしよう。」
.
.
.
次の日。
「忘れた‥」
当たり前な気がした。夢は儚いものだ‥
結局、あの後あの夢の続きを見る事ができなかった。
私はまた図書室に行く事にした。
「そんな‥」
そう、今日は土曜日だった。
あんな夢を見たばっかりに私は記憶が混乱していた。
「私とした事が曜日も忘れてるなんて‥」
諦めて帰る事にした。
「あれ?雫ちゃん?」
「え?」
目の前に現れたのは昨日相談を受けた、
「新河さん?」
そして隣には真面目そうな男の人がいた。
「この人が昨日言ってた彼氏!」
「どうも
「こんにちは、白雪雫です。」
「あのさ、雫ちゃん、実は昨日ね、あの後ね尊ちゃんと会って本当は本の事全然分かんないって言ったんだ、そしたらとっくにバレてたらしい‥」
「まあ、ですよね。」
「それでもそんな所を含めて好きって言ってくれたの!
でもさ、プラネタリウム読んでみたら凄く面白くてさ〜良かったら他のおすすめも教えてね!」
「わかりました。」
「てか、雫ちゃんなんで制服?」
「その、恥ずかしながら曜日感覚なくて‥」
「え!ウケる!雫ちゃんって意外と抜けてるんだね!それだったら私達これからブックカフェ行くけどどう?」
「いや、お二人のデートですし‥」
「雫さん。でしたか?私と優ちゃんは気にしませんよ?」
「そうそう!それに尊ちゃんと本の話してあげてほしいし!私は私でおすすめの本とか読みたいし!
それにウチらもう友達だし!」
「じゃあ‥お言葉に甘えて‥」
そうして私は2人のデートにお邪魔してしまった。
ー続くー
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