第15話 冬休み

世間では年末年始が休みになるが恵はずっと休みは取らないでいた。 家族がいるわけでもない、年末年始に帰省する訳でもない、家族愛が強い同僚達が満足いけば良いとずっと思っていたが今現在そう言ってはいられない恵だった。 正月勤務却下。夜勤却下。

「どうしたんだ? 何時も喜んで出勤してくれてたじゃないか〜」上司も同僚も関係者からも不思議がられた。

「う〜ん····家族って大事だな、と思えて、休みの時に一緒に居たくなったんだ、と云うことで私の休みを宜しくお願いします」休暇届けを提出した。 恵は矢島の笑顔が思い浮かんだ。 「恵! 正月一緒に居られるの〜?」矢島は感激して万歳して喜んでいた。

「せっかく一緒の連休だ、何やろうか考えような」

「一緒に居られるだけでも嬉しいよ〜」

「····んじゃエッチするか? 朝から晩まで」 言われた矢島は絶句。

「ホテル取ってノンストップセックス〜! 」 「恵の馬鹿! 変態!! 」

「仲良しこよしは変態だ」乾いた笑い声を上げる恵。 変態でも笑顔が1番、思いながら矢島も微笑んだ。 2人暮しだったらもっと平和な幸せを噛み締められるだうな。

「矢島、新居探そう! 」

「えっ!! 嬉しいけど突然過ぎない? 」

「2人だけの空間って欲しくないか? 」

「····欲しい」 唇を尖らせポツリと返事をする矢島を抱きしめる恵。 「良い年にしような」 矢島は頷く。


お前は私の大事な家族なんだ。

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