第3話 矢島のやりたいこと

プール行きたいな。 矢島のお願いに恵は嫌な顔をして「何で?」と聞き返した。

「お前は嫌な事も克服できたから俺に付き合って欲しいな~と思って····一緒にプールで遊ぼうよ」

「私とタメなおじさん、言ってる事が子供だな」

「この歳になって言えるんだよ。俺たち成長したよね」悪びれた様子もなく快活に笑う矢島はやはり少年のように可愛い。

「遊べる心の余裕があったら良いな。お前もジェットコースターに付き合ったから私も付き合うよ····沈んだり気絶したら助けろよ」鼻で笑って矢島に伝えた。

「不吉な事言わないでよ! 助けるし、その前にそうならないように予防していこうね」 風呂は矢島と一緒だから入れるようになったがプール? 体の2/3が水の中に入るなんて恐ろしい····無理だな。矢島のお願いは聞いてやりたいのは山々だが死んでしまう。 結論、恵は却下した。 「矢島、おいで」仕事が終わって2人の時間になってから部屋で恵に呼ばれた。

「な~に?」おもむろに矢島を抱き締める恵。 「なに、なに、どうしたの?」

「矢島、愛してる。お前を心の底から愛してる」いきなり抱き締められて愛の告白。 矢島は恵の頭を撫でながら半ば呆れ抱き締め言った。 「ゴメン、ゴメン、プールそんなに嫌だったんだね」恵は子供かと思いながらダダを言ってもダメだから愛していてもお前の願いは聞けないと言いたいのだろう。 矢島は本当に恵の事を良く解っている。真の理解者。

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